『天は赤い河のほとり』作・演出家、小柳 奈穂子が創る魅力
『天は赤い河のほとり』の作・演出は小柳 奈穂子氏。
奇しくも宙組が創設された1998年より宝塚歌劇団で嘱託として演出助手に。
植田景子氏、児玉明子氏に次ぐ3人目の女性演出家として、1999年に宝塚歌劇団に入団し、2011年に『めぐり会いは再び』で宝塚大劇場デビューされています。
以降の作品が・・・
- 『Shall we ダンス?』(2013年、雪組)
- 『ルパン三世 -王妃の首飾りを追え!-』(2015年、雪組)
- 『幕末太陽傳』(2017年、雪組)
どの作品も映画、コミックの舞台化ですが登場人物達が実に生き生きとして描かれ、それぞれの人生を前向きに生きている明るさを感じるものでした。
小柳先生はあるインタビューの中で・・・
私はもともと、どっちかというとオタク系で、ゲームも少しは、やっていましたが、本とか漫画とか、映画、演劇方面の方にずっとハマってきた人間だったんです。それが、たまたま道でばったり会った知人に、「これ、面白いからやってみたら?」と教えられて、コナミの「ときめきメモリアルGirl’s Side」という乙女ゲームを知り、実際にやってみたら、違う世界が開けてきて。
(出典:http://business.nikkeibp.co.jp/)
本、漫画、映画、演劇にはまった以外にオタク系でゲームをやっていた、と語られています。
これを知った時に「小柳作品の登場人物には、二次元キャラクターの魅力に近いものがある」
理由は、小柳先生がゲームオタクだから?
そう思いました。
↓↓カイル王子(真風涼帆)とユーリ(星風まどか)
(出典:https://twitter.com/)
『天は赤い河のほとり』の登場人物達。
どこか萌えキャラ? これってロリータ? と思わせるところがあります。
特にヒロインのユーリ(星風まどか)のミニスカートの衣装。
そして剣を持って戦う勇ましい姿は、二次元キャラ、あるいはアニメキャラクターを想像するものでした。
そして我らがヒーロー・王子カイル(真風涼帆)は、オリエントの衣装が似合い、金髪の長い髪もぴったり。
漫画の中から抜け出した王子様を好演。
ラムセス(芹香斗亜)も憎めない恋敵ながら、マントをひるがえし戦うシーンが美しい。
↓↓ラムセス(芹香斗亜)
(出典:https://twitter.com/)
ヒッタイト軍のカイルと、エジプトのラムセスが銀橋で一対一で戦うシーンは、国と国との争いは表向き。
ユーリをめぐっての男の戦いと考えると、心寄せる姫(ユーリ)を巡る男同士の争い?
いやーーー、頭脳明晰で武力にも長けた美男子二人が、一人の女性を奪い合うかのように戦うって、まさに女性の心をくすぐるツボじゃないですか!!!
でもカイル王子には理想の妻像があり、理想の女性に巡り会うことを待っていました。
そこへタイムスリップで現れたユーリこそが彼の「理想の女性」「理想の妻」だったのです。
愛を伝える術を知らない(そういう必要のない時代だったので)王子も、ユーリを通して現代日本の女性にどうやって心を伝えるかを教わり、ラストではユーリに跪き愛を伝えます。
まぁ、こんな騎士道的な求愛をされたら、今時の女子のユーリじゃなくとも、胸がときめいてキュンとなってしまいますね。
この演出は、どうすればいかに観客をもときめかせることができるかを知っている小柳先生らしいと思います。
カイルにとっては恋敵のエジプトの軍人・ラムセス役の芹香斗亜さんは、軍人らしく豪快さがあります。
窮地にあったユーリを助けて、エジプトへ連れ帰りますが、口説き方も単刀直入。
裏表なく明るい人物ですね。
花組時代の芹香斗亜さんは、どうも作品の中で活かされていないと思うことがありました。
・・・が宙組へ組替えして来て『WWS』に続く2作目で、真風さんと相反する魅力がまたまた観劇するファンにとって萌えキャラ。
どちらも素敵だからこそ、目移りしそうな二人の王子でした。
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