『シトラスの風』のオープニングからの色の美しさ
30分の幕間休憩を挟んで、客席が次第に暗くなりトップスター・真風涼帆さんの開演アナウンスと共に、『シトラスの風』のオープニング曲が鳴り始めます。
それだけでワクワクとときめいて来るような音楽!
幕が上がると板付の宙組生達の衣装の色がまた心を踊らせるように美しい!
この光景を見ると「わぁ!キレイ!」と声をあげたくなるような、宝塚ならではの豪華な美しさですね。
↓↓宙組公演『天は赤い河のほとり』『シトラスの風-Sunrise-』
岡田先生は「色」に非常にこだわりを持つレビュー作家と言われています。
水色、黄緑、黄色に紫やかなりビビットなピンク!
ちょっと想像を超えた色の取り合わせですが、舞台に色とりどりの花が開いたような華やかさに圧倒されるのが『シトラスの風 』オープニングでしょう。
今回の『シトラスの風 -Sunrise-』では、中詰が大幅に変わって過去に上演された『シトラスの風』の「そよ風と私」がなくなりました。
↓↓過去の「そよ風と私」のシーン
シトラスの風 より そよ風と私
公演初期に ずんこさんのこの大きなイヤリングが 外れる現場を目撃!
次回 観劇した日には かぶり物にくっつけておられた
激しいダンスだし 重そうなイヤリングだし、ずんこさん 賢いなって思った pic.twitter.com/tiIw5Qb9F2— Rachel (@KoguRachel) 2015年7月24日
このシーンではやはり様々な色の衣装が登場しますが、全て大きな水玉柄!
色によっては、岡田先生のイメージする色に水玉という生地がなかったのかもしれません。
なんと!
水玉が手描きされている色の衣装もありました。
この「色」に対する岡田先生の拘りは、今作『シトラスの風 -Sunrise-』でも変わっていません。
観客が声をあげたくなるほど、舞台を観た瞬間に美しいと感じる!
これをとても大切にしている作・演出家さんです。
『シトラスの風 』新場面「Mr.Bojangles」「アマポーラ」
ここからはまず、印象に残った新場面について書いて行きます。
Mr.Bojangles
『シトラスの風 -Sunrise-』の新場面となった「Mr.Bojangles」。
一人の青年(真風涼帆)がダンスの名手だったMr.Bojanglesの想い出を歌い、踊ります。
このシーンでMr.Bojangles役の宙組組長・寿つかさ(ことぶきつかさ)さんが、良い味を出して老いたダンサーを演じています。
組長さんながら、ショーでも大活躍の寿つかささん。
組子を率いていつも颯爽と踊る姿が実に爽やかでかっこいいと思っていました。
・・・が今作『シトラスの風 -Sunrise-』はかなり出演場面が減っています。
体力的に厳しくなって来られたのかと若干心配。
でも、この「Mr.Bojangles」での味わい深いダンスシーンは、寿つかささんあってこそ心に訴えかけるものがあります。
若いダンサー達(愛月ひかる、蒼羽りく、風馬翔、他)がジャズのリズムに載せて粋に踊るのも見事。
でも、Mr.Bojanglesの魂のように、人生経験を積み重ねて来たから出せる味わい深さは、スッシーさん(寿)の芸の奥行きの中で表現できるのでしょうね。
(実はスッシーさんのダンスがとても好きなのです)
アマポーラ
今作の中詰となる「アマポーラ」。
専科から出演の星条海斗(せいじょうかいと)さんが上手から下手へと銀橋を渡りながら歌い、始まります。
リズムや拍子がコロコロ変わるアレンジの「アマポーラ」
原曲が1920年代のポップスなので、少し選曲に古臭く感じますが、それが岡田先生の世界観なのでしょう。(と思うことにしました)
宙組のスターさん達が歌い、踊り、銀橋を渡るのが見目麗しい。
舞台奥に配置された鏡が効果的で、宙組生が舞台にずらりと並ぶと圧倒される「美」は感じます。
岡田ワールドを理解し、宙組生達が作り上げているシーンと思いました。
『シトラスの風』初演からの名場面「明日へのエナジー」
『シトラスの風』にはいくつもの名場面があります。
その中でも最も印象に残るシーンは?
そう聞かれると、管理人・すみれ子は「明日へのエナジー」と答えます。
今回の『シトラスの風-Sunrise』にも、もちろんこのシーンは含まれています。
「明日へのエナジー」はプログラムでは音楽:甲斐正人と掲載されていますが、これは編曲という意味でしょう。
原曲は「Favorite Song Of All(フェイヴァリット・ソング・オブ・オール)」
原曲の「Favorite Song Of All」はゴスペルというジャンルに分類される曲。
アメリカ大陸に、奴隷としてアフリカから連れてこられた黒人達が苦しい状況の中で、救いを与えるゴスペル(福音)と出会い、キリスト教に改宗。
黒人独自の神への賛美を捧げるようになったのがゴスペルの原点と言われています。
こう説明を読んだり、書いたりしたところで「ゴスペル」とはなんなのだ?
そう聞かれても管理人・すみれ子自身本当の意味で全くわかりません。
でも、「明日へのエナジー」の中には、人間の様々な感情と明日への希望へ向けた魂の叫びのようなものを感じて、『シトラスの風」の中で最も素晴らしく、好きなシーンです。
また、この曲を使った謝珠栄氏の振り付けも、エネルギッシュで宝塚で一番若い組である宙組のフレッシュな魅力を象徴するような気がします。
↓↓初代の明日へのエナジー
https://youtu.be/_qKsr1_xJp8
『シトラスの風』でどのシーンが印象的か?
これは人によって違うでしょう。
でも、私の中では『シトラスの風』=「明日へのエナジー」がインプットされています。
あの学ランをイメージした衣装。
少しパンク風なヘアスタイル。
ダンサー達が踊り始め、超ド派手はオレンジや赤の裏地をチラ見せする姿に、ビジュアルだけでも胸キュン!とときめきます。
コーラスもエネルギッシュで厚みがあって「これぞ宙組だーーーー!」と「明日へのエネジー」ではアドレナリンがいっぱい?
これが20年前に作られたシーンだとすると、当時としてはかなりセンセーショナルに感じたはずです。
(すいません、初演は観ていないのです ^^;)
↓↓ 3.『シトラス -Sunrise-』のスター達
コメント
うみひこさん
ご訪問とコメントをありがうございます。
ご指摘いただいた点は即改めますね。
(アップ前にかなりチェックをするのですが、誤字脱字や間違いをご指摘いただき、本当にありがたいです。)
岡田先生の作品に対するお考え、おっしゃる通りのことを私も思っています。
これは「ベルばら」の植田先生にも通じることですが、作家には旬というものがあり、それをすぎるとマンネリして「今」という時代の風をつかめなくなると考えています。
若手の作家さんが、宝塚の歴史を正しく認識して、若手だからの風を吹き込んで行くのは大切で、そういう意味で上田久美子先生の『BADDY』は賛否両論あったとしても、佳作だったと思いました。
またのご訪問やコメント、お待ちしています。
これからもよろしくお願いいたします。
すみれ子さん
先ほど宙組東京公演を当日券B席最後列で知人と観劇し、帰りの電車の中です。(昼休みに歩いて日比谷に当日券買いに行ける。)
シトラスの風、やっぱり自分はツボにはまりませんでした。組子さん達が頑張ってることはわかる。でもいつも通りの決まったパターンを予想通りの安直な展開で見させられているかんじ。また全体のストーリーや主張がわからなかった。(そもそも無いのかも)
しかしながら、思いっきり拍手している人もいたので、こういう演出が受ける人は一定数いそうです。
とまあ偉そうに文句言ってますが、じゃあお前が演出やれんのか?と言われても当然出来ません。 観劇させていただいている自分の立場を思い出し、謙虚さを取り戻します。はい。
うみひこさん
コメントをありがとうございます。
率直なご感想を聞かせていただき嬉しいです。
実は私・・・
宙組公演は大劇場で観劇しましたが『天は赤い河のほとり』は、まだ感想を整理して書きやすかったのですが、『シトラスの風』はおっしゃる通り「何を訴えたいのか」が全くわからず感想もずっと書きかけたままでした。
東京公演の初日にあたって、とりあえず書き終え公開させていただきました。
記事では結局書かなかったのですが、
「宙組20周年」という企画ありきで、宙組の代表作と言われる『シトラスの風』の再演が決まったことは安易に想像できます。
当然ながら岡田敬二先生を起用。
しかし20年の年月の中で、すでに岡田先生のショー作家さんとしての感性は「今」という時代にマッチしなくなっていたように思います。
記事とは若干違うことを書いているかもしれませんが、これが正直な考えです。
ほんと・・偉そうというのは私も同じ(汗)。
作・演出なんて私にはできないですからね〜。
でも観客には作品を観て、評価する権利はあると思いますよ〜ー!
逆に、岡田ワールドがぴったりはまる観客もいるだろうし、お客さん一人一人観劇の感想は違うはずです。
「観劇させていただいている立場」だからこと、高いチケット代をお支払いしているのだからこそ、うみひこさんのような率直なご意見をいただけると私はとても嬉しいです。
生徒さんが頑張っている。だからあまり辛口をブログに書きたくない・・・と思っているのですが、作品に関しては宙組生の魅力を引き出せる作品であった欲しかったです。
(長くなってしまい申し訳ありません)
私も場面としては「明日へのエネジー」は勝手に後世に残るべき名場面!なんて思ってます。
でも・・・あとはxあ・・(ため息)
すみれ子さん
自分はまだ宙組公演を観れていませんが、岡田先生のロマンティックレビューはちょっと苦手です。ゆるーい甘ったるーい感がずっと続くところが。自分はダサくてもわかりやすく、メリハリがあるショーを好みます。齋藤吉正先生や野口幸作先生の作品が好きです。
ある芸歴の長い人気タレントがコメントで「自分の芸風を時代に合うように少しずつ変えている。」というのがありました。進化論のダーウィンの名言「変化する者だけが生き残る」に似た話ですが、正鵠を射ていると思います。
ところで記事の1ページ中断にある、
「昨年(2007年)の『グランド・ホテル』再演時も…」
って、2017年の書き間違いでは?
(実はこれが言いたかった。)
ではでは。