宝塚『王妃の館』実咲凜音退団作の感想!宙組コメディーセンスある作品

宙組 宙組

2月3日に初日の幕があいた宙組『王妃の館』、『VIVA! FESTA!』宝塚大劇場公演も中過ぎました。

 

宙組は朝夏まなと(あさかまなと)さんはトップスター就任後、『王家に捧ぐ歌』『エリザベート』と宝塚を代表する大作主演が続き、ショーは大劇場では、昨年の1月から約1年ぶりとあって宙組生一丸となった熱のある作品ですが、浅田次郎原作の『王妃の館』も佳作です。

今日はミュージカル・コメディ『王妃の館-Château de la Reine-』の観劇感想レポを綴ってまいります。

 

↓↓【関連記事】

 

 

『王妃の館』の作品としての魅力

王妃の館』は水谷豊主演で映画化されたこともある、浅田次郎氏の小説『王妃の館』の舞台化です。

制作発表の映像を見た時に、「まさか、まぁ様(朝夏)がこんなスーツを着る?」とびっくりしたものです。

 

[arve url=”https://www.youtube.com/watch?v=xUSXDQ5tR_E”/]

 




 

実際公演では違う衣裳かと思いきや、しっかりまぁ様もみりおん(実咲凜音)もこのど派手でカラフルな姿でした。

でもさすがですね。

朝夏まなとさん、そして実咲凜音さんともにまったく違和感がありません。

 

パリ、ヴォージュ広場の片隅に佇む「シャトー・ドゥ・ラ・レーヌ」は一見客の宿泊を許さぬ高級ホテルだが、実際は深刻な経営難に陥っていた。そこに目を付けた旅行社「パン・ワールド・ツアー・エンタープライズ」はホテルとタッグを組み、高額の“光ツアー”、格安の“影ツアー”それぞれに同じ客室を利用させるという奇策に打って出る。しかし集まったのは風変わりな人気作家ら、一筋縄ではいかない癖者ばかり。かつての城主、ルイ王の物語が紐解かれる中、様々な騒動を繰り広げるのだが……。

(出典:宝塚歌劇団公式サイト

 

というあらすじですが、原作は上下巻2巻の長編ながら1時間35分の上演時間という制約の中にコンパクトでまとまりのある作品となっています。

この点では『王妃の館』が宝塚大劇場デビュー作となった作・演出家の田渕大輔(たぶち だいすけ)氏の手腕によるところが大きいでしょう。

原作者である浅田次郎氏がどう思われたかは別にして・・・

切るところはバッサリ切って、訴えるべき点は観客の心に響くように実に巧みな構成になっています。

宝塚歌劇団にまた若い座付き作家が育ちつつあると言って良いでしょう。

 




 

 

朝夏まなとの北白川右京

朝夏まなと(あさかまなと)さんが実にのびのびと北白川右京を演じているのがわかります。

再演物の大作をトップスターとして演じることは、宝塚の歴史の重み、作品の質をそこねない重責もあり、プレッシャーがあったことでしょう。

今回はオリジナル新作、そしてコメディー作品という点で朝夏まなとの新たな挑戦でしたが、新鮮な魅力を見つけることができた作品でした。

朝夏まなとさんは、冒頭からセレブ気取りの小説家そのものです。

また話題ともなっている、神がかり的に小説が降りてくるシーンを演じるまぁ様。

オーバーにエクソシストが降りてきたような演技で笑いを誘っていますが、それそのものが自然に感じられるから面白いです。

 




 

物語の前半では鼻持ちならないセレブ気取りの傲慢さを感じさせ、ルイ16世の心の傷に触れ、やがて知らず知らずに人を傷つけている自分自身に気づくあたりの芝居の流れも自然で違和感がありません。

このまぁ様の芝居を見ていると、作・演出の田渕大輔氏は単にコメディーとして『王妃の館』の脚本を書いたのではなく、人の心の温かさ、人が人思う思いやりの心を描きたかったに違いないと思えてくるのです。

朝夏まなとさん、実に良いトップスターさんになられましたね。

今、まさにトップスターとして充実期と言える中で相手役である実咲凜音さんの退団を一番惜しんでいるのは、まぁ様かもしれません。

 

朝夏まなとさんは実咲凜音に対して、以下のような言葉を送ったそうです。

朝夏からは「最後は自分のために花を咲かせなさい」と言われた。トップスターを支える娘役トップに対する「最大級の愛の言葉」と感じた。

(出典:産経WEST 2017.2.18

 

男尊女卑傾向の多い宝塚歌劇団の中で、自分より先に卒業を決めたトップ娘役に対してこんな温かな言葉を送れるトップさんは、人としても器が大きいと言えますね。




 

右京は派手な服装、髪形、性格すべてが個性的。原作は小説ながら漫画の登場人物のように感じた。そこで“2・5次元の人物”として想像。人気漫画「のだめカンタービレ」でヒロインが恋するエリート音大生、千秋真一と重なった。

「右京も結構、“ツンデレ”なので。天才ゆえなのか、本当に自分のことしか考えていないけど(笑)、品があるところも近い」。“変わり者”だが、宝塚らしさを意識する。「宝塚的にOKな範囲の“変な人”で、『こんな日本人おる(いる)かい!』、みたいな感じが出せたら(笑)」

 (出典:産経west 2017.2.17)

 

↑この記事を読んで確かに『のだめカンタービレ』の千秋真一にかさなる物があり、「こんな日本人おるかい!」感も満載。

まぁ様のみりおん(実咲)に対するツンデレ感もたまりません。

 

↓↓2. 真風涼帆 / 愛月ひかる / 実咲凜音 / 桜木みなと 

コメント

タイトルとURLをコピーしました