真風 涼帆のルイ14世
現代のパリが舞台の作品の中で、ルイ14世、ムノン(松風 輝)のみが17世紀の人として現代のパリへ蘇るように登場します。
芝居全体の中ではルイ14世の回想シーンとして、恋人・ディアナ(伶美 うらら)、その子供のプティ・ルイ(遥羽 らら)、ルイ14世の母と妻などの登場しますが。
そのルイ14世を演じるのが真風 涼帆(まかぜすずほ)さん。
カラフルなスーツスタイルのまぁ様演じる北白川右京、その他の男役さん達に混じって、17世紀の太陽王を演じる真風涼帆さんは衣装の着こなしから立ち居振る舞いまでがルイ14世そのもの。
真風 涼帆さんも星組から宙組へ組み替えしてきて約2年。
もはや宙組には欠かせない二番手スター男役です。
太陽王として欲しい物を全て手に入れたかのように思われるルイ14世も、悲しく引き裂かれたディアナとの恋の話を北白川右京に語ってしまいます。
『王妃の館』にはダブルブッキングの旅行ツアー、光(ポジ)組と影(ネガ)組が登場しますが、ルイ14世の存在は人生のポジとネガを象徴している考えると面白いです。
愛月ひかるの金沢貫一
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成金でゴージャスキラキラなのが愛月ひかる(あいづきひかる)さん演じる金沢貫一。
バブル時代の成金の象徴のようなイメージで『ミナミ帝王』の竹内力さん演じる萬田銀次郎的な印象。
実はカツラという秘密があり。
『TOP HAT』以来三枚目系の弾けた役が続く愛月ひかるさん。
殻を破ってこの手の芝居が実に見事です。
しかし・・・道化役がこう続くと抑えた超二枚目が見たくなるので、次作ぐらいでは是非!と宝塚歌劇団にお願いしたいものです。
愛月ひかるさんは新人公演主演時代に新人公演をよく観劇していたので、宙組生粋の三番手として、成長してきた課程を思うと今日の姿は頼もしいものです。
実咲 凜音の桜井玲子
倒産寸前の弱小旅行代理店の女社長兼、ツアーコンダクター。
桜井玲子という役名は、原作ではツアーコンダクター・桜井 香、光(ポジ)ツアー客の一人朝霧 玲子という人物がいるのでこの二人の合体名のようですね。
ハツラツとした表情で気が強く、しゃかりきなキャラの桜井玲子を演じているみりおん(実咲)。
これが宝塚の退団公演です。
研4で花組から宙組へ来て凰稀かなめ(おうきかなめ)さんの相手役としてトップ娘役に就任しましたが、凰稀かなめ退団後は残留して朝夏まなと(あさかまなと)さんの相手役。
様々なヒロインを演じる実咲凜音さんを見てきましたが、こういう若干鼻持ちならない気の強い女性をコメディーで演じるのは『TOP HAT』のデイル・トレモントに似通った物がありますね。
しかし『エリザベート』のタイトルロール、『双頭の鷲』の王妃を経て、弾けた桜井玲子が今の実咲凜音さんによく似合っていると思いました。
まさに何を演じても、演じる力のある歌唱力、演技、ダンス全ての実力の揃ったトップ娘役さんです。
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「大変さも幸せ。今、計り知れない幸福感がある」。宝塚で人生が変わったそう。「人を思う心が何より大切と教えていただいた。すべての出会いがあって今の私がある。すべての巡り合わせが奇跡」
(出典:産経WEST 2017.2.18)
作品によってはトップ娘役が、しかも実力がある人がこんな扱いは不遇であろう・・・という作品もありました。
男役至上主義の宝塚では致し方ない部分もあり、その点では大変だったこともあるのでしょう。
まぁ様と組んで以降、伸びやかに演じているみりおん。
今、舞台を観ているだけでもその幸せ感が感じられます。
だからこそ作品から客席に訴えかける物の大きさを感じることもできます。
戸川光男の桜木みなと
幕が開いて一番最初に登場するのが、桜木みなと(さくらぎみなと)さん演じる、桜井玲子の部下で影(ネガ)ツアーを引率する戸川光男。
戸川光男は、桜井玲子に逆らえず泣く泣く影(ネガ)ツアーのツアコンをやっている、正直できの弱い青年です。
しかし逆に桜木みなとさんは、こんなに演技力アップした?と驚く程、このコメディー作品での演技が光っています。
ずんちゃん(桜木)。
ずんちゃんが抜擢され始めた頃、2枚目ながらまだまだひ弱で「可愛いから許してやろう」ぐらいの存在でしたが、さすがは路線スター排出の黄金の期である95期。
宝塚で四番手という言葉は使いませんが、宙組三番手愛月ひかるさんの後はずんちゃんでしょう、と思わせる片鱗が多々ありました。
おそらくは桜木みなとさんと戸川光男はともに心根が優しく、真面目で、共通するものもあるのでしょう。純な良い青年を演じていました。
 
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