『神々の土地』の初日から5日が過ぎました。
初日は1階S席サブセンター、また昨日は2階後方席で観劇。
座席位置によって「見え方が違うことから、作品への印象も変わる」と思っているところです。
2階席では舞台奥まですっきりと見渡せるので、出演者個々の活躍よりは一つの作品としての客観視できますね。
なかなかどこのお席で観られるかは思い通りにならないものですが、複数回リピートで観劇できるような時は、異なる位置での観劇をおススメします。
きっと新たなる作品の魅力を発見できることでしょう。
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さて・・・
今日は出演者にポイントを置いて『神々の土地』について綴ってまいります。
朝夏まなとのドミトリー・パブロヴィチ・ロマノフ
朝夏まなと(あさかまなと)さん演じるドミトリーは、ロシア皇帝・ニコライ2世の従兄弟、つまりロマノフ家の一員であり、帝国軍人。
脚色はされていますが、実在するラスプーチン暗殺の実行者と言われています。
『神々の土地』では、ロマノフ王朝の行く末を憂う貴族達から「ラスプーチン暗殺」を持ちかけられ、一旦は断り、皇女・オリガ(星風まどか)との縁談を受け、皇帝一家に加わることでロシアの立て直しを図ることを考えます。
しかし両親を亡くして以来、身を寄せていた叔父・セルゲイ大公邸の未亡人・大公妃イリナ(伶美うらら)への憧れにも似た想いが、「愛」であると気づき、皇女・オリガとの婚約パーティーの席上で思わずイリナを抱きしめてしまいます。
ここからドミトリーの歩む道は180度転換。
皇女との縁談は破断となり、民衆の皇室への不満を抑えロマノフ家を守るために、ラスプーチン暗殺を実行、そしてその刑罰として激戦地・ペルシャへ出兵を命じられ、愛するイリナとの別れが訪れます。
朝夏まなとさん演じる正義感に溢れる青年貴族・ドミトリーは、これまでにない新しい魅力の一面でした。
軍人でありまっすぐな心根の青年という宝塚の二枚目男役です。
ラスプーチン暗殺を決意してから実行までが性急ですが、舞台を見ていると一気に高まる緊張感こそあれ、不思議に不自然には感じませんでした。
少しまつげを落とした翳りのある表情など、台詞にはなくともイリナへの淡い恋心がやがて真の愛へ変化して行く過程を、繊細に表現していています。
言葉にしないからこその切なさを漂わせ、憂あるまぁ様の表情がどのシーンでも美しく良い二枚目と見とれました。
プレお披露目公演『TOP HAT』では明るく陽気な青年でした。
『王家に捧ぐ歌』は情熱溢れる勇敢な兵士、『Shakespeare~空に満つるは、尽きせぬ言の葉~』では苦悩しながら開花するシェークスピア、『エリザベート』のトートは過去のトート像にとらわれない血の通ったトート、『王妃の館』でコメディー。
今作『神々の土地』でロシア貴族であり、軍人であるプライドを持って生きた男の姿という、これまでにない役どころで、朝夏まなとさんの新たな魅力を見ることができました。
なんだか「もっとあなたの魅力を見せて欲しい」
まぁ様に向かってそう呟きたいような思いがあります。
真風涼帆のフェリックス・ユスポフ
真風涼帆(まかぜすずほ)さんはドミトリーの旧友・フェリックス・ユスポフ。
ジナイーダ・ユスポワ(純矢 ちとせ)の息子です。
やはり実在の人物です。
ドミトリーと愛人関係にあったというエピソードが残されていますが、『神々の土地』の中ではそれらしき台詞もありますが、友人関係が前面に押し出されています。
(フェリックスはその気がありそうながら、ドミトリーが友人として扱っているような感じですね)
ドミトリー自身よりも彼の心の内を知り、ドミトリーがイリナに惹かれていることをフェリックスが代弁している点で、管理人・すみれ子はフェリックスはドミトリーの「心を表現する」位置づけと考えました。
また貴族の存在の正当性を主張するあたりも、ロシア貴族全般の意識の代弁者ですね。
それらに加えて、皇帝一家に敵対する貴族の一人としての一家に対する嫌味な言葉すらサラッと言っていますが、決して嫌味な存在でないところが真風涼帆さんのフェリックスの良さかと思います。
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