『愛聖女(サントダムール)』の魅力&齋藤吉正の力
まずこの『愛聖女(サントダムール)』の成功は、やはりというか当たり前ながらも主演・愛希れいかの魅力の数々が余すところなく詰め込まれている点でしょう。
作家としても演出家としても型にとらわれず「サイトーの犯行」と評される作・演出家の齋藤 吉正氏の手腕も大きいです。
チャピ(愛希)といえば、研3で男役から娘役に転向後、すぐに前月組トップスター・龍真咲(りゅうまさき)さんの相手役としてトップ娘役に就任。
龍真咲退団後も残留して、現在の月組トップスター・珠城りょう(たまきりょう)さんの相手役として若いトップを支えて来たことは、宝塚ファンの皆さんはよくご存知ですよね。
2016年『ロミオとジュリエット』でヒロインを演じて以降、この6年間にありとあらゆるジャンルでヒロインを務めてきました。
愛希れいかさんご自身が「この役をやった時に、退団を意識した」と退団記者会見で話した2015年『1789-バスティーユの恋人たち-』のマリー・アントワネット。
凛とした気品と佇まいは、リアルに女王の威厳を示して圧倒的な存在感をみせていました。
そうかと思うと昨年(2017年)には『All for One〜ダルタニアンと太陽王〜』では、ルイ14世は実は双子の姉弟だったというフィクションに基づいた小池修一郎作品では、男装をしている実は男の子という設定のルイ14世役。
少年っぽい愛らしさが、愛希れいからしいと思うと同時に「これってあのマリー・アントワネットを演じた人と同じ人?」と思わせるほど、かけ離れたキャラクターに驚かされたものです。
『愛聖女(サントダムール)』の中につまっている愛希れいかの魅力は、まさに『1789-バスティーユの恋人たち-』で見せた真の強い確固たる信念のもとに生きる女性像と、キュートな魅力に溢れているという真逆のキャラクターが混在。
いえいえ、もっと!
『愛聖女(サントダムール)』には、愛希れいかそのものがもつ全てが詰まっていたと言えるのかもしれません。
そしてここまで愛希れいかの魅力をじっくり見つめて、チャピを主軸に作品化した斎藤先生の力にも感服するものがありました。
スタバじゃなくって?オーケーグーグルじゃなくって・・・の『愛聖女』
宝塚の作品ではその時代の最先端な要素をうまく取り入れることがありますね。
ちょっと思い出すと・・・
星組と花組で上演された『オーシャンズ11』。
PCを巧みに使うハッカーがいましたね。
あの時もさりげなく「Macかい?」みたいな最新マシンが登場していました。
今回は今話題の「Ok Google」のGoogleアシスタント!
劇中では「OK ぐるぐる」です。
ジャンヌ・ダルクが居候するエルヴェ(輝生 かなで)とパメラ(天紫 珠李)の部屋に、AIロボットのぐるぐる君がいるという設定です。
「OK ぐるぐる」とAIロボットのぐるぐる君に話しかけては、おかしな答えをもらって若干いじられているような場面もあり。
ラスト近くでジャンヌ・ダルクはぐるぐる君に
「OK ぐるぐる」
「私は過去に戻ってフランスのために生きるべき?」(・・・みたいなセリフ)
と話しかけるとぐるぐる君はジャンヌ・ダルクに決意を即すような答えをくれます。
ジャンヌ・ダルクと現代のAIロボットという並び。
不思議な感じもしますが、時を超えた異文化がだんだんとマッチしてところに、ジャンヌ・ダルクの迷い(現代と中世への想い)が感じられました。
スマダって???あれだよね?の『愛聖女』のカフェ
客として訪れたカフェ。
そこでアルバイトをすることになるジャンヌ・ダルク。
そのカフェの名前はどうやらスマイルダックス・カフェ?(間違っていたらごめんなさい)
通称・スマダ。
あれっと思いましたが、ちょっと考えるとあのカフェのこととわかりますね。
ながーーーーい商品名がよくわからずに、その商品名と格闘するジャンヌ・ダルクが面白い。
ついでにその商品名を間違えず言い続けたスマダ店員・ミランダ(桜奈 あい)もすごいです!
チャピの魅力満載だけでなく、観客の身近にある現代の要素をパロディー的に取り入れて、ジャンヌ・ダルクが本当に現代にタイムスリップしても違和感ないかも?
そう思わせてくれるサイトー先生のセンスの良さ。
本当に素敵な作品をありがとう!です。
↓↓3. 『愛聖女』に美弥るりか?BADDYって?まさかのOK!ぐるぐるって?
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