ANOTHER WORLD見どころ・感想
ANOTHER WORLDの作品ポジション
星組トップスターでいらっしゃる紅ゆずる(くれないゆずる)さんは、2017年1月にトップスターに就任しました。
大劇場のお披露目公演は『THE SCARLET PIMPERNEL(スカーレット ピンパーネル)』。
宝塚でまだ3回目の上演でしたが、その楽曲の素晴らしさや分かりやすい勧善懲悪のストーリーで既に大人気演目となっています。
しかも、過去2回は安蘭けい(あらんけい)さんと霧矢大夢(きりやひろむ)さんという歌ウマトップさんの主演。
『THE SCARLET PIMPERNEL(スカーレット ピンパーネル)』歴代ポスター
左:2008年 星組(安蘭けい、遠野あすか、柚希礼音 他)
中央:2010年 月組(霧矢大夢、蒼乃夕妃、龍真咲、明日海りお 他)
右:2017年 星組(紅ゆずる、綺咲愛里、礼真琴 他) pic.twitter.com/2mZrUCKrUu— タカラヅカ歌劇ポータル (@zukazuka_info) 2016年12月12日
歌があまり得意分野ではない紅ゆずるさんがどのようなパーシーに仕上げてくるのか、注目が集まりました。
実は9年前に新人公演で既にパーシー役を経験済みであった紅ゆずるさん。
新公パーシー「とーこさーーーぁん」の後の 紅様のこの笑顔♡かわいくて かわいくて 仕方ないです 〜スカーレットピンパーネル新人公演より〜 pic.twitter.com/n05DEc9uBr
— benibe (@tkkstkks) 2014年12月8日
このお披露目公演は、紅ゆずるさんのその成長ぶりが見どころと言っても良かったかもしれません。
そしてその後は『ベルリン、わが愛』『うたかたの恋』とシリアス寄りのお芝居が続きます。
紅ゆずるさんは現在研17。なかなかの学年です。
トップ就任は去年ですが、それほど長い在任期間にはならないでしょう。
「そろそろ紅さんの強み(コメディーとかアドリブ力)を活かした作品が観たい!」
とファンが思っていたところの今回の『ANOTHER WORLD』。
宝塚プルミエール『星組 RAKUGO MUSICAL「ANOTHER WORLD」』#紅ゆずる 率いる個性豊かな星組メンバーによる、落語ミュージカルを特集!死後の世界を舞台とした落語の作品をちりばめた純愛冒険物語。
ナレーター:#早霧せいな(元雪組トップスター)
5/26(土)午後5:00⇒https://t.co/ZuT1Y5AuJu#wowow pic.twitter.com/rO20ILkYCC— WOWOWステージ (@wowow_stage) 2018年5月15日
落語の舞台化という、少し華やかさに欠ける作品になりそうな不安はありました。
しかし、初日が明けると「爆笑!!」の声があちこちで聞こえてきました。
『ANOTHER WORLD』担当演出家の谷 正純先生は以前にもバウホールで何度か落語を舞台化し、どれも大好評の実績がありました。
そして今回もやはり大好評!
落語ならではの面白さを舞台化する才能に大変秀でた先生なのですね。
実はノル香も谷先生演出の花組公演『くらわんか』を観劇していました。
【私の好物!蘭寿さんのもう一度見たい作品場面7】
くらわんか!とにかく面白くてはまりました。難しいお芝居だったと思います。2012年、DVDにして下さい!ってTCAにリクエストし、販売された時の嬉しかったこと!うちのお正月番組の定番! pic.twitter.com/Rewu2FyYgd— おたんこ (@akiko_LBH106) 2014年2月13日
正直言って観るまではまったく期待していなくて、大劇場のついでに…くらいの気持ちで観劇したのであまりの面白さにびっくり!
和モノ、しかも部将モノならまだしも、青天(※)ってやっぱりどうしても期待値が下がりますよね…(;^ω^)
※青天↓
しかし、蘭寿とむ(らんじゅとむ)さんが演じた八五郎さんは(『くらわんか』はW主演、ノル香が観たのは蘭寿とむさんバージョン。もうお1人は愛音羽麗(あいねはれい)さん)は本当に素敵でした。
ニートで自己中で金にだらしないサイテー男なのに、ひとつひとつの粋な所作が色っぽく、とにかく台詞の間がいい。
そんな蘭寿とむさんの好演や他キャストの皆さんとのテンポのいいかけあいで場内は大爆笑。
良き思い出です。
しかし、今まではあくまでバウホール公演であり、『ANOTHER WORLD』は大劇場公演です。
バウホールよりも華やかな場面を盛り込む必要があり、どのようになるのか初日の様子を見守っていました。
すると、幕開きとエンディングは舞踊ショーになっているとの情報を聞き、なるほどと観劇を決意したという経緯です。
ANOTHER WORLD見どころポイント
「チョンパ」(※)で始まる幕開き。
※暗転の中、拍子木が「チョン!」と鳴ったら照明が「パッ」とつく演出のこと
やはり和モノのチョンパは格別に美しいですね。
洋モノの美しさとはまた違った華やかさがあります。
「わっ!眩しい!」と目が少し眩むほどの明るさの中に、本舞台、銀橋、花道に並んでいるスターさんたち。
和モノ独特の色彩も上品で、それぞれの着物の柄をじっくり眺めるのもまた楽しい。
和モノでショー1時間を埋めるのは少し間延びしてしまう部分があるので、これくらいの和モノショーなら観客も飽きずに観られます。
そして、お芝居。
原作は落語ですから、物語が面白いのは間違いありません。
タイトルがいきなり英語であるように、江戸時代のお話だからカタカナは無し、なんてことは全くなく、「バー、クラブ、メイド喫茶」なんて単語も普通に出てきます。
宝塚ならではのギャグも満載で、奇抜な登場人物たちが本当に魅力的。
植田紳爾特別顧問をいじるネタまであり、真面目なファンにとっては「それってどうなの?」「不謹慎」という意見もあるようですが…
もちろん谷先生は植田特別顧問の承認を得ているのでしょうし、谷先生もかなりのベテラン演出家です。
若手演出家がそれをやってしまうのはさすがに「怖いもの知らず」でしょうが、谷先生と植田先生なら問題ないと私は思います。
ノル香がいちばん「ほほう!これは!」と思ったのは、娘役陣の活躍ぶりでした。
宝塚の娘役さんは皆さん本当にお上品で、普段は「うふふ…♡」なんて可愛らしく笑っていらっしゃいます。
本来は女性である男役さんを「男性っぽく」見せるには、普通の女性よりもずっとずっと女性らしく佇んでいなければならないからでしょうね。
しかし『ANOTHER WORLD』では、「その声、一体どこから出してるのー?!」なんて驚いてしまうほど娘役さん達が凄みを利かせていました。
音波みのり(おとはみのり)さん、夢妃杏瑠(ゆめきあんる)さん、有沙 瞳(ありさひとみ)さん。
お三方とも超強烈な役なんですが、見事に振り切ってました。
ヒロインである綺咲愛里さんも、主人公が死んでしまうほど好きになった女性ということでずっとおしとやかで可愛らしい女性なんですが、最後の最後にドーン!とかまします。
この作品にはおしとやかな女性は一切出てきませんので、すべての娘役さんにかなりの度胸が求められたことと思います。
それに応えた娘役陣に拍手!でした。
↓↓3.『Killer Rouge』の見どころ・感想・あの下級生の華が止まらない!
コメント
ノル香様
B席の長所は、作品に集中できること…なるほど~。前方でも席によっては1点集中で全体が見えないことはよくありますものね。
’それでもソラカズキ氏あたりはオペラ越しに攻めてくる…’
すごいです、攻められた~い
’演出家や作品によって観る観ないを決める’ わかります。
贔屓の演出家さんだと期待しますよね。私は、上田久美子先生のお芝居一押しです。
基本はどの組も見る派で、初日大好き、自分なりの所見を感じたいと思っています。勿論プログラム買う派ですがノル香様ほど熟読していなくて(買った段階でパラパラ見、一応満足?)、まだまだ未熟者です。
中ほどでちらちら観劇し、最終、東京千穐楽をライブで見る、というパターンが多い昨今です。
ライブは、ゆったり座席で大写しで見れるのがよいですね。ただ、ここを映してほしいという場面が抜けていたり、個人の好みに合わせてもらえないところがあるのは仕方ないかなあ…。
これからも、楽しい記事、よろしくお願いします。
シルバー蝶さん
B席の楽しみ・・・ってありますね。
これは負け惜しみでなくSSセンターとかでなく、「やったー、リーズナブルでこの楽しさ!」みたいに思います。
(実は『WSS』を梅芸の三階てっぺんで観劇した時にも思いました)
最近、私もライブビューはマメに観ています。
こちらもSSセンターにもまして、舞台上の皆さんの小さな表情の変化から衣装の作りの見事さまで、舞台観劇とは違った面白さが見えますね。
@シルバー蝶さま
メッセージ、ありがとうございます!ノル香です。
シルバー蝶さんもヅカファン第2シーズン突入ということで、第1シーズンとは少し違ったスタンスになっている自分を感じるとき、ないですか?
第1シーズンは自分も若かったので、ジェンヌさんたちを「憧れの女性」という目で見ていた部分がありましたが、第2シーズンの今はスターさんはみんな年下ゆえ、「可愛い」という愛で方が増えました(*^^*)
観劇の楽しみ方も、第1シーズンは「釣られに行く」という鼻息荒い感覚が強かったのですが、今は「作品の味を噛み締める」「組のカラーを堪能する」という静かな姿勢になったように感じます。ゆえの、B席でも充分楽しい!という感覚なのだろうと思いますね~。
こうして、宝塚を好きになった時期によっていろんな角度からいろんな楽しみができるのも、ヅカ沼の深い所以ですよね。
ウエクミ先生が大好きなのも、ライビュでのもどかしさも、もうシルバー蝶さんの仰ることすべてに共感です!プログラムだってノル香も割とササっとパラパラっと見る程度ですよ(;^ω^)
「おとめ」は仕事柄、熟読することが多いんですけどね。
ノル香ならではの視点を保ちながら、皆さんに楽しんでいただける記事を書いていきますので、末永くよろしくです!!
ノル香
ノル香さん
観劇レポって、前から10列目くらいまでに座った人が書けるものだと思ってました。B席観劇で詳細レポ書けるってすごくないですか??そもそも誰が誰だか判別つかないし、誰かをオペラグラスで追ってたら他が見えないし。自分は、あのメイドカフェの女の子は有紗瞳さんだったのかー、と後から公式webで確認し納得する始末です。。。
その昔1789を東京で立ち見で観た時に、横にいた人(年配の女性)と幕間にくっちゃべっていたのですが、彼女曰く、
「あたしはパッと見ただけで誰か分かっちゃうから、パンフは買わないのよねー。」
「なんせ寿美花代の現役時代から観てるからね。」
スゲーなこのオバ・・と驚愕した覚えがありますが、ノル香さんはそんな領域でしょうか??
うみひこさま
いつもコメントありがとうございます!!
いえいえいえいえノル香はそんな『プロフェッショナル仕事の流儀-歌劇見守り人-』に出られるような領域には達しておりませぬ(;^ω^)
その歌劇見守りプロさんは、寿美さん時代からの…ということならそれなりのご年齢だと思いますが、むしろそのお歳で若いジェンヌさんの見分けがつくことが本当に素晴らしいですね!
多分最後に「-プロフェッショナルとは?」と訊かれて我々が想像もできないような異次元の名言を発せられるのでしょう。「登山家、ですかね」的な。
私もそのようなヅカファンに成長していきたいものです。
ノル香はB席からオペラで確認すればまぁなんとかお顔は判別できるので、その一瞬の確認作業だけ済ませて普通に肉眼で最後まで見る感じです。
で、その答え合わせを幕間に公式サイトで確認する…そんな感じですかね。
B席の長所は、客席降りがあろうとも釣りターゲットになることがないので作品に集中できることでしょうか。
それでもソラカズキ氏あたりはオペラ越しに攻めてくることがありますが…
恐ろしい子です。