星組トップコンビ 北翔海莉&妃海風を送る『桜花に舞え』『ロマンス』の作品としての質の高さ

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昨日、宝塚星組公演『桜華に舞え』-SAMURAI The FINAL- とロマンチック・レビュー、『ロマンス!! (Romance)』を観劇してきました。観劇レポです。

両作品ともトップコンビ北翔海莉(ほくしょうかいり)さん、妃海風(ひなみふう)さんのサヨナラ公演にふさわしく、宝塚のオリジナルとして佳作でした。

も併せてご覧ください。

作品としての『桜華に舞え』 -SAMURAI The FINAL-

幕末の動乱期に雄大な桜島がそびえる薩摩藩の貧しい城下士の家に生まれ、人並みはずれた度胸と剣の腕で、明治維新の立役者の一人ともなった桐野利秋。明治新政府では陸軍少将に任じられながらも、敬愛する西郷隆盛と共に下野し、“避けられぬ宿命”西南戦争へと身を投じて行く。彼が命を賭けて守り抜こうとしたものは果たして何だったのか……。会津藩との戦いの最中に出会った娘との恋や、苦楽を共にしてきた薩摩兵児達との友情、そして対立を交え、“真心”を持ち、己の“義”に真っ直ぐに生きた最後の侍の生き様を描き出します。

(出典:宝塚歌劇団公式サイト)




作・演出/齋藤 吉正

客席が徐々に暗くなり始め三味線の音が聞こえると、それにのせて北翔さんの開演のアナウンスが流れます。そこからすでに客席は過去の歴史の世界へ誘われていく・・・。

そして芝居の冒頭は 昭和7年(1932年)5.15事件で犬養毅(麻央 侑希)が暗殺されるシーンから始まります。

唐突で一瞬戸惑いますが、彼が薄れいく意識の中で桐野利秋(北翔 海莉)を回想します。芝居のラストを迎えた時に、犬養こそがこの物語のすべての目撃者的存在であったことがわかります。

そしてラストシーンの後、幕が下りるとそこに「SAMURAI The FINAL」の文字が映し出される。

見事な構成でした。

計算し尽くされた世界感に「斎藤先生、あっぱれ!」と思わず叫びたくなりました。


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ガイズ&ドールズ

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こうもり/THE ENTERTAINER!




中でも桐野利秋と衣波隼太郎(紅 ゆずる)の男の友情には泣かされます。衣波隼太郎は架空の人物ですが、利秋とは幼馴染。互いに夢を追い求めた結果、たどり着いた場所に立場の違いが生じますが、生涯を通じて最後までそこには熱い友情がありました。

皮肉にも隼太郎は桐野を討つ立場となり、最期の桐野を抱えた隼太郎が深い悲しみと嘆きと共に、幼い頃からの変わらぬ友情と彼への想いが溢れ出しているようで、観ていて涙腺が決壊してしまいました(–;

  • 利秋と衣波隼太郎の友情
  • 西郷隆盛(美城 れん)を慕う桐野
  • かつては桐野自身が手にかけた会津藩士の娘、大谷吹優(妃海風)の桐野への想い
  • 会津藩の姫(真彩 希帆)でありながら遊女に身を落とした愛奈姫(真彩 希帆)と姫を思い、会津藩と彼女の仇として桐野を討とうとする八木永輝(礼 真琴
  • 薩摩での思いやり溢れる桐野の家族達
  • 隼太郎と縁を切る隼太郎の家族

誰一人として悪意ある存在ではないし、それぞれのエピソードにあまりにも切なくて、しかしこの切なさを感じ取ることができるのは「日本人のルーツ」がそこにあるからかなぁ・・・なんて思う作品です。

雪組『星逢一夜』を感じる点があります。

ただ上述以外にもエピソードが多く、見せ場も詰め込みすぎているので、1時間40分に描ききれずにわかりづらい点があったのが少し残念です。

冒頭に暗殺される犬養毅は、仙次郎という名で瓦版屋、新聞記者として登場しているのですが、犬養=仙太郎とわかるための「一言」が欲しかったです。予習していたらわかる(多分ディープなヅカファンはわかるでしょう)のですが、そうでないお客さんには芝居冒頭で年老いた姿だった犬養と瓦版屋の仙太郎は一致しないかと・・・(^^;

一方「薩摩弁がわかりづらい」という事前情報は得ていましたが、確かに正確に理解するのは不可能ですが、言葉があの時代の薩摩を物語り、叙情感を出しています。

薩摩言葉習得のために北翔さん始め星組生達はご苦労されたということですが、十分に滑舌良い薩摩言葉でした。

また、日本物など皆無に近かった星組。殺陣を始め、所作に至ってもきちんと勉強の後が見えます。しかしながら、和物自体の上演機会は減っていても、見せるべきところでそれらしく演技できる素養は宝塚では必須事項として普段から稽古が必要ですね。

常に日舞の稽古に励み、年一度の舞踊会にも出演し続けていた北翔さんをまん中にしてだからこそ、これだけのレベルの作品に仕上がっているので、それに続く生徒さん達もこれを機に鍛錬を続けて欲しいと願っています。




ロマンチック・レビュー 『ロマンス!! (Romance)』

作・演出/岡田 敬二

岡田先生らしいパステルカラーのピンク、イエロー、淡いグリーンとブルーが舞台いっぱいに溢れ、昭和のノスタルジックな香りのするオーソドックスなショーでした。斬新なアイデアが満載なショーもありますが、宝塚らしい空気の中で安心して見られるのもいいものです。

岡田作品の『ネオ・ダンディズム』『シトラスの風』ほ彷彿させる場面もありました。

一方、紅い薔薇の花のセットを背景に「裸足の伯爵夫人」というタイトルで繰り広げられるボレロのシーンは振り付けが室町 あかねさんで、男役が伯爵夫人に扮していたり(七海ひろき、礼真琴)見応えある熱い場面。

「友情」をテーマにみっちゃん、ふうちゃん(妃海風)、紅ゆずるさん、礼真琴さんをメインにした謝珠栄さん振り付けの場面は、星組らしいエネルギッシュな温度を感じ、みっちゃんが「イル・モンド」を歌う、一人の男が旅立つ場面は、サヨナラ公演を意識し星組生達がトップさんを見送る場面として用意されていましたが、色が変化するドアに見立てた縦長の枠(LEDでできてる?)の使い方が見事で、羽山紀代美さんお振り付けも素晴らしく印象に残りました。

唯一、残念だったことはサヨナラ公演なのにデュエットダンスの後の銀橋でのトップコンビのご挨拶なく、暗転の中はけてしまったこと。

えっ? 時間の関係? と思いましたが、とり立てて「みちふうコンビ」の熱狂的ファンでなくとも、ここは客席にいるファンとしては「素晴らしい舞台と思い出をありがとう」とこのトップコンビを盛大な拍手で送り出したかったです。

その代り?に次期トップコンビの紅ゆずるさん & 綺咲愛里さんのプチお披露目的なシーンあり。





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【北翔海莉 メモリアルブック】

公演を観終えて

サヨナラ公演のオリジナル作品に佳作はない・・・と言われますが、お芝居もショーも北翔海莉&妃海風に見事にハマった作品でした。

そして北翔海莉という人は卒業の最後の瞬間まで努力と進化を諦めず、益々輝きを放っていく人なんだろうと思いました。

特に歌唱力は上手いというレベルを超え、人の魂を揺さぶるようなものを持っています。専科→星組トップという道のり後、宝塚の枠を超えて羽ばたいていくであろう姿がもうすでに見え始めているような気がしました。

越路吹雪さんを超えるかもしれませんね。

そんなことを思った観劇でした。


今日は作品としての観点から感想レポを書いてみました。

も併せてご覧ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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コメント

  1. ココ より:

    はじめまして。
    宝塚初心者のものです。

    桜華に舞えとロマンス、素敵な作品ですよね。
    ただ、デュエットダンス後のご挨拶はほしいのに同感です。
    ぜひぜひ、お二人に拍手をお送りしたいのですが。
    特に風ちゃん、銀橋を急いではけていかれてますし、時間がないのでしょうか…。
    それなら、フィナーレで美城さんが階段を降りられる時に
    少しでも歌っていただければ、トップコンビが着替える時間もあるかと思うのに。
    (個人的に、パレードで美城さんの歌声を期待していまして)
    本当に残念です。
    今からでも、せめて東京公演では、何かを調整してでも
    追加していただきたいと願っています。

    • すみれ子 より:

      ココ様

      コメントをありがとうございました。
      銀橋でのみっちゃん&風ちゃんのご挨拶、同じように思ってくださる方がいらっしゃって嬉しいです。
      テンション高くお二人のダンスを見ていて盛り上がったところで一瞬「えっ?」とはぐらかされたような気がしてしまいました(^^;)。さよなら公演だからこそ、なんとか東京公演で見直して欲しいですね。

      レビューレポートに書いてみようか思っています。
      http://kageki.hankyu.co.jp/revue/2016/ouka/report.html

      美城さんも良い歌声を聴かせてくださいましたね。とても名残惜しい観劇でした。