エリザベートのあらすじ、宝塚版上演歴、歴代キャストも振り返りから2018年月組まで!

宝塚コラム

『エリザベート』の主な登場人物

では、『エリザベート』の主な登場人物を紹介してきます。

宝塚版と東宝版では登場人物は同じながら、男役至上主義の宝塚では、トート閣下が主役! 東宝版とは少し演出も違います。

 

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トート閣下

 


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日本語で言うところの「死神」です。

「死」という概念を擬人化したもの、とでも言うのでしょうか。

エリザベート皇后は異様なまでに死に関心を寄せていたと言われています。

それが自殺願望だったのか心理学的興味だったのかは分かりませんが、そこに着想を得て「死神と皇后の愛の物語」にしてしまう発想が秀逸。

トート閣下のビジュアルは、エリザベートが心酔していたという詩人ハインリヒ・ハイネやロック歌手のデヴィッド・ボウイがモデルらしいですよ。

 

 

少女時代のエリザベートを見て、死神なのに一目惚れしてしまったトート閣下。

エリザベートを力づくで振り向かせようと、ハプスブルク家周辺を操り、悪魔のような冷たい視線でエリザベートを翻弄します。

しかし、エリザベートに拒否されてハートブレイクする様子がまるで血の通った人間のようで、死神につい共感してしまう演出が見事です。

 

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エリザベート(シシィ)

ヒロインのエリザベート。

愛称のシシィで呼ばれることもありますね。

 

 

この写真からも美貌の人であったことが良くわかります。

大きな眼とキュッと結んだ口元からも、意思の強い女性像が想像できますね。

 

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ヨーロッパが誇る美貌の王妃と言われています。

日本人の私たちから見ると、黒髪で黒い瞳のせいか、少しマニッシュで凛々しい印象を受けますね。

エリザベートは、フランツ・ヨーゼフ1世の母方のいとこにあたります。

当初はフランツのお妃候補にはまったく挙がっていなかったのですが、エリザベートの姉・ヘレネとフランツのお見合いに同席した際にフランツがエリザベートに一目惚れ。

フランツはそれまでに自分の意見を押し通したことなどない、母ゾフィーの言いなりの皇帝でした。

しかし、エリザベートとどうしても結婚したいということだけはどうにも譲らなかったそうです。

 

 

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皇帝からの熱烈なプロポーズを受け入れてハプスブルク家に嫁ぐことになってしまったエリザベート。

しかし、自由奔放に育ってきたエリザベートにとって厳格なしきたりだらけのハプスブルク家はまったくもって性分に合いませんでした。

姑・ゾフィーからの陰湿な嫌がらせを受けたりしているうちに、宮殿に寄りつかなくなってしまいます。

妻であること、皇后であること、母であることを放棄して諸国を放浪する日々。

ことあるごとに自分の前に姿を見せるトート閣下を最初は認めようとしませんでしたが、次第に受け入れていきます。

史実のエリザベートは、60歳の時にテロリストに暗殺されています。

莫大な税金を使って贅の極みを尽くしていたので、マリーアントワネットの晩年と重なるものがありますね。

フランツ・ヨーゼフ1世

エリザベート(シシィ)の夫、フランツ・ヨーゼフ1世

 

 

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↓↓前回、宝塚版『エリザベート』初演から20周年でフランツ・ヨーゼフを演じた真風涼帆

 

1804年から1867年まで、ハプスブルク家が支配した『オーストリア帝国』の3代目皇帝。

徹底的な帝王学を叩き込まれていたため、個人的な感情よりも「帝国のため」という価値観が強かった人物のようです。

その価値観が、自由思想を持つエリザベートとは相容れず、エリザベートが強い孤独感に襲われる要因ともなります。

「帝国のため」を思えば母の言いなりになるしかないことも多かったのでしょう。

しかし、大反対を押し切って大好きなエリザベートと結婚したのなら、責任を持って守ってほしいですよね。

母と妻の間に挟まれた情けない夫、という構図は国境も時代も超える共通問題のようですね(;^ω^)

 

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↓↓花組でフランツ・ヨーゼフを演じた北翔海莉さん

 

この強い帝国主義は皇位継承者である一人息子、ルドルフとも激しい対立を生むこととなります。

肺炎により86歳で亡くなりますが、最後まで「エリザベートを心から愛していた」と何度も発言しているそうです。

妻として、皇后としてのエリザベートというより、女性としてのエリザベートに惚れ抜いていたのでしょうね。

「皇帝である自分」と、「一人の男である自分」の強い葛藤を押し殺す難しい演技が要求される役です。

 

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ルイジ・ルキーニ

エリザベートを暗殺する人物。 実在の人物ですが、ミュージカル『エリザベート』の中では、かなり脚色されています。

 

 

↓↓ルキーニを演じてきた歴代のスター達

luneさん(@lune_chateau)がシェアした投稿

 

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史実では、エリザベートを暗殺した無政府主義者、テロリストです。

贅沢三昧を続け、公務を一切放棄して旅を続けるエリザベートやハプスブルク家。

フランツ・ヨーゼフ1世にも暗殺未遂事件があったので、過激派から暗殺の対象になっていたのでしょうね。

舞台でのルキーニは、ストーリーテラーの役割です。

しかし、ストーリーテラーながら各場面の登場人物に扮してうまく場面に溶け込ませ、市民の怒りを煽らせているのも見事な演出。

トート閣下に翻弄されていくエリザベートとハプスブルク家を常に傍観して嘲笑っています。

宝塚らしからぬ、ヨレヨレの黒いジャケットとハット、汚らしい白黒のボーダーシャツがトレードマーク。

トート閣下から暗殺用のナイフを受け取ってからの狂った演技が見どころです。

ルドルフ皇太子

 

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↓↓宝塚版の皇太子ルドルフ、出世役と言われて上演の度にその配役が注目されますね。

フランツ・ヨーゼフ1世とエリザベートの一人息子。

父・フランツ・ヨーゼフ1世と同じく、祖母にあたるゾフィーから厳しい帝王学を叩き込まれて育ったため、人格形成が歪んでいきます。

きっとフランツのような忍耐強い従順な性格ではなく、母似のとても繊細で自由な心の持ち主だったのではないでしょうか。

鞭打ちなどをされて肉体的にも精神的にも追い込まれ、猫を殺すなどの奇行に走るようになります。

 

↓↓ルドルフの少年時代。宝塚ファンは子ドルフと読んでますね。

 

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見かねたエリザベートが親権を奪取してゾフィーから引き離しますが、今度は自由思想に心酔しすぎて保守的な父親と激しい衝突をしていきます。

エリザベートも宮殿に寄りつかないため、親の愛をまともに受けられなかったルドルフ。

次第に生きることに絶望を覚え、トート閣下の誘惑に身を投じていきます。

現代でも、親から正しい愛情を注いでもらえずに人格形成に問題が生じてしまった人が少なからずいます。

19世紀の皇帝一家のお話なのに、やはりこうして共感ポイントが多く見出せることが『エリザベート』の大きな特長ですね。

ちなみに、このルドルフ殿下の生涯は宝塚の別作品『うたかたの恋』でも描かれています。

そこでは宝塚らしく「恋人と心中」という描かれ方をしていますが、史実では暗殺説も根強いようですよ。

 

↓↓↓エリザベート上演9回すべてのメインキャスト表をチェック!

コメント

  1. 路線ノル香 より:

    うみひこさま

    ノル香宛ての初コメント、ありがとうございますー!とっても嬉しいです!

    ええ…瀬奈シシィの首と肩幅と二の腕、彩輝トートさえも絞め殺せそうで…
    フィナーレのデュエットダンスは彩輝さんが心配でおろおろしてしまいました(笑)
    ご本人がいちばん「シシィは私じゃないだろう!!」と思っていたのでしょうけどね…

    ゾフィー最期のそのエピソードは初めて聞きました!
    シシィ外出時に暴漢に襲わせていたとかいうゾフィーの酷い嫌がらせを受けながらも、「最期くらい…」と思ったのでしょうかね。
    帝王教育と帝国にだけ捧げ続けたゾフィーの人生を思うと、そういう気持ちになったのかもしれませんね。
    シシィが優しくて聡明な女性であることがなんとなく窺えます。

  2. ちはるCLUB より:

    「ルキーニの法則」、新人公演は無効なんですね。

    明日海さんのルドルフが見たかったので、嬉しいです。
    古本で瀬奈トートのプログラムを入手しました。でも、テレビで見たのは青樹ルドルフでした。

    明日海トートは私の中で最強です。

    美弥ルキーニが観たかった……。

    • すみれ子 より:

      ちはるCLUBさん

      私も美弥さんのルキーニ、ちょっと怪しい色香がありそうで興味あったのですが。
      でもフランツの心情を抑えた中で、もがく姿を美弥さんがどう演じるのか期待できる!と思い直しているところです。

      トートを演じる人によって、作品の色って変わりますね。一昨年の宙組公演前に、ほぼ全部の上演を観て思いました。
      ご贔屓トートがファンそれぞれにいるの、なるほど・・・と思いましたよ!

  3. うみひこ より:

    ノル香さん
    いやーすごい大作コラムですね。勉強になりました!
    瀬奈じゅんさん「エリザベート地獄」に笑いました。CSでやってた歴代エリザベートで、シシィのソロの場面を見比べたことがあるのですが、瀬奈さんシシィの首の太さと上半身のガッシリ感に衝撃を受けました。。。めっちゃ強そう。ゾフィーなんか、軽く絞め殺せそうです。

    でも史実?で自分が好きなのは、ゾフィーが老いて病気になった時に看病して最期を看取ったのはシシィだった、というエピソードです。 ではでは。

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