宝塚の舞台機構【大階段、銀橋、盆、セリ、緞帳】徹底解説!

宝塚コラム

 

【盆・セリ】スムーズなセットチェンジに大活躍!

大階段や銀橋と同じくらい便利で欠かせない舞台機構、盆とセリ。

宝塚以外の劇場でもセリくらいは設置されているところが多いですね。

では、まず盆の説明から。

【盆】舞台のセットチェンジに重宝する丸い移動部分

盆というのは、つまりは「お盆」のようなものという意味。

本舞台の真ん中にある円形の回転機構のことです。直径は約14メートル。

 

↓本舞台の真ん中にある大きな丸が盆。

 

この丸い部分がメリーゴーランドのように、ぐるぐると回ります。

大階段の出し入れと同じように機械ですべてコントロールされていて、たぶん速度や回転方向などを細かく指定できるのだと思います。

使い方としては、お芝居では主にセットチェンジや登場人物の歩行シーンなどが多いと思います。

盆の中で、盆が回る速度と同じ速さで演者が歩けば、立ち位置を変えずにそのままの位置でてくてく歩くことができるということです。

 

銀橋を道に見立てる演出もある、と述べましたが、この方法で道を歩く様子を表すことも多いですね。

セットチェンジの場合は、例えば建っていたお店のセットが、盆を回して裏側になると違う建物になっている、という感じです。

お店の中で話していた主人公が、急いでヒロインの家に向かうことになるという場面があった場合に、主人公が席を立ったきっかけで盆が回り始め、盆の中をてくてく歩いていくうちにお店のセットが回転し、裏面になったらヒロインの家に…という感じでしょうか。

これもやはり、暗転にして客席を待たせることなく物語を進めていかれる、という大きなメリットですね。

 

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盆はショーのほうでもしっかり活躍します。

まるでオルゴールの上の人形のように、美しいタカラジェンヌさんが美しい舞をしながら盆が回るというのは、とても幻想的で美しい姿です。

特に2階席から、回る盆を眺めるのは本当に綺麗。

盆の中でくるくる回る娘役さんたちのドレスの裾が円形に膨らんでゆっくりと移動し、たくさんの花が咲いたようです。

たかが盆が回るというだけなのに、なぜかグッと華やかに見えるのは不思議ですよね。

 

ただ、タカラジェンヌさんたちにとってはなかなか難儀な機構のようです(;^ω^)

お稽古場にはもちろん盆などないので、盆に入るタイミングや位置は初日前の1~2日間の舞台稽古で掴まなければならないからです。

しかも、回っている盆に走って入り込むと急に自分の動く速度が変わるのでガクンッ!となるらしく、コツを掴むまでに時間がかかるとか。

短い舞台稽古期間で体得しなければならないので焦りますよね~。

客席から見るといとも簡単にスッと盆に飛び乗っているタカラジェンヌさんたちですが、そういう運動神経も必要ということですね。

 

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【セリ】舞台に6台もある巨大な装置

本舞台の中を大きく占める丸い盆の中に、セリという舞台装置が埋まっています。

現在の宝塚の舞台では、盆の中の4台と、花道の付け根にある2台、合計6台のセリを使用しています。

 

 

他の劇場やコンサートホールにもたいてい備わっているセリ。

演者がこの穴から登場したり下がっていったりするあの装置ですね。

盆の中に埋まっているのが4台。手前から1号ゼリ、奥に向かって2号、3号、4号です。

そして花道の付け根に1台ずつ、上手が7号ゼリ、下手が8号ゼリです。

あれ?5号と6号は??

舞台のどこかにあるそうなんですが…今は使っていないんだそうです。

 

盆の中にある1号~4号ゼリを上から見るとこんな感じ。

 

 

2号ゼリは3分割されていて、それぞれ高さを変えることができます。

大きさとしては、1号ゼリと4号ゼリはまったく同じ大きさで、奥行き約1メートル、幅3メートル。

セリの中で最大の3号ゼリは奥行約3メートル、幅約10メートル。

そんなに大きなセリをどうやって使うの?というと…

 

 

この、ベージュ部分のセット全部が3号ゼリなんです。

セリの中は空洞になっているので、そこにこうしてセットを仕込むことができます。

そしてセリを上まで上げて部屋や建物として使うことができるという仕組み。

 

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さきほど説明したように、このベージュ色のセットの裏側が他の建物になっている場合もありますし、このまま3号ゼリが沈み込むだけでこのベージュの建物を数十秒でしまうことができます。

暗転の中、スタッフさんが出てきて手動でセットを舞台袖に運んでいく…というのはなんだか夢の世界から少し醒めちゃう気がしますもんね。

 

裏方さんの姿を一切見せることなく完璧にセットチェンジを行うというのも、「夢の世界」を大切にしている宝塚の精神がよく表れている気がします。

ちなみに、テーブルや椅子、小道具の出し入れなんかもスタッフさんではなく、下級生に持たせて演者としてさりげなく上手にセットしますので、いつも「よく考えられてるなあ」なんて思いながら観ています(*^^*)

割と重たいセットや、設置が難しいセットなんかも下級生が運ばされていますよ( *´艸`)

なんでもこなすタカラジェンヌさんは本当にすごい!

 

宝塚の舞台セットは基本的にこの盆とセリを駆使して出し入れします。

本舞台に4台もセリがあるので、活用の幅はかなりあります。

外部舞台では暗転の中、スタッフさんが舞台袖からサーっと走ってきてセットを舞台袖に運んでいく姿などがよく見られます。

それが一切ない宝塚は、本当によく考え抜かれた舞台設備だな~と感心してしまいます。

それができるのも、宝塚歌劇団以外にこの劇場を使用することが一切ないので、すべてを宝塚用にカスタマイズして作ることができたということですよね。

 

花道付け根にある7号ゼリ・8号ゼリは「スッポン」と呼ばれ、基本的にスターさんの登場や沈み込みに使用されます。

客席からすごく近い位置にあるので、トップさんや2番手さんの小さな綺麗なお顔が自分の目の高さと同じ位置を通過します。

これは前方の端のほうの席の特権ですね!

 

↓↓4.幕も演出の一部に使う最新技術!

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