【幕・緞帳】舞台の「仕切り」となる!
演劇舞台に欠かせない存在、幕と緞帳(どんちょう)。
どちらも舞台全体を覆って仕切る布製のセットですが、宝塚ではその2つは別物です。
簡単に言えば、幕はセットのひとつ、緞帳は開演と閉演を知らせるもの、という感じでしょうか。
2018年~2019年に上演の雪組公演『ファントム』では、幕開きすぐに見事なCGが幕に映し出され、これからオペラ座の地下の物語が始まるということを観客に知らせます。
美しくて精巧なCGで一気に観客の集中を集め、同時に物語の世界へ連れて行ってくれる素晴らしいアイデアでした。
『紗幕(しゃまく)』と呼ばれる、裏が透けて見えるほどの薄い幕もあります。
紗幕の向こう側に照明が点いていなければ奥が透けて見えないので、幕に風景や文字なんかを描いて芝居で使う風景やショーのタイトルを示すことができます。
そして裏の照明がパッと点くと紗幕が完全に透けて見え、奥に既に出演者がいて、紗幕が完全に上がるのを待たずにお芝居やショーを始めることができ、ここでも観客を待たせることなく作品を進めることができます。
もう、本当に観客の集中を切れさせないような工夫が舞台機構のすべてに反映されていてすごいですよね。
そして、緞帳。
緞帳が開いた時が「宝塚が始まるよ!」という合図であり、閉まった時が「これでおしまいです!」の合図です。
基本的には、緞帳はスポンサーさんからの寄贈品。
宝塚大劇場も東京宝塚劇場も、割と頻繁に緞帳は新しいものに変わっていきますね。
まだ全然古くなっていないのに、「新緞帳お披露目式」がよく行われています。
5組のうちのどれかのトップコンビがわざわざ出席して取材陣も呼んでのお披露目式なので、企業としては広告効果がかなり高いのでしょう。
緞帳の右下のほうに割と小さめに企業名が入っているだけなんですけどね。
↓元宙組トップコンビ・朝夏まなと(あさかまなと)さん&実咲凛音(みさきりおん)さん、宙組組長の寿つかさ(ことぶきつかさ)さんによる新緞帳お披露目式の様子。
アップしました! 宝塚ジャーナル : 東京宝塚劇場の新緞帳「生生流転」お披露目! https://t.co/CZtjWxABe3 pic.twitter.com/OtbqpmZBlE
— 宝塚ジャーナル (@takarazuka_j) 2016年11月1日
↓2018年の宝塚大劇場の緞帳はとても綺麗!
月組トップスターの珠城りょう(たまきりょう)さん、元トップ娘役の愛希れいか(まなきれいか)さん、3番手スターの月城かなと(つきしろかなと)さん、元組長の憧花ゆりの(とうかゆりの)さんが出席したお披露目式。
宝塚大劇場の新緞帳はトップスターの羽のイメージ。お披露目には月組のみなさんが登場しました。動画でもどうぞhttps://t.co/Riw1oA0a2M pic.twitter.com/bBfaa1kPUl
— 神戸新聞映像写真部 (@kobenp_photo) 2018年8月3日
企業さんによってデザインが全然違うので、センスが試される感じですね。
すごくシンプルなものから、宝塚らしい華麗なものまで。
ノル香は、華麗なほうが好きです!
客席に入った時に、「来た~~~!!!」とテンションが高まるので(#^^#)
宝塚大劇場、東京宝塚の舞台機構・まとめ
宝塚といえば「夢の世界」という世界観を大切にしているエンターテインメント劇団です。
夢の世界を確立するには、現実世界を感じさせる要素を一切排除しなくてはなりません。
宝塚を観ている2時間半は、現実の仕事のこととか家庭のこととかを一切忘れ、ただただ夢の世界に没頭する。
それを叶えるために徹底した舞台作りをしてくれている宝塚歌劇団。
設立から100年以上が経ってもなお、多くの人から支持されているのも納得ですよね。
今や海外のファンも多く、テレビでアジアやヨーロッパから「タカラヅカを観に来た!」と大遠征してくる女の子たちを見かけることもあります。
この記事で解説してきた大階段・銀橋・盆・セリ・幕・緞帳。
そのすべては、徹底してファンの夢を叶えるためのものでした。
「宝塚は深い!」と言われる所以に、このような舞台機構の意味なども含まれるのではないでしょうか。
ぜひ、今度はそういう視点でも宝塚を観てみてください。
もっと楽しさが広がると思いますよ。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
コメント