宙組公演『白鷺の城/異人たちのルネサンス』をより深く楽しむためのお勉強講座

宙組

 

『白鷺の城』姫路城天守閣に住む妖怪?富姫さまとは…

前世の記憶の中で度々玉藻前と闘っては別れ、闘っては別れを繰り返してきた幸徳井 友景がすべてを知り、最後の決着方法として玉藻前のすべてを受け入れ、愛することを決意します。

それに玉藻前も応え、2人はついに結ばれる…というところで玉藻前は無三四の攻撃で絶命。

それを見た友景も自害し、悲劇でのエンドかと思いきや…

そこで再び松本先生登場!

「富姫(とみひめ)」という人物です。

 

この富姫を調べてみるとやっぱり狐!

姫路城の天守閣には「おさかべ姫」という妖怪の主がいて、この正体が狐ということ。

この姫のエピソードを元にした物語『天守物語』を小説家の泉 鏡花(いずみきょうか)が執筆、その中に出てくるのが「富姫」です。

現在の姫路城の天守閣には、「長壁(おさかべ)神社」があり、この姫が祀られてあります。

 

 

『白鷺の城』では、この富姫が絶命した2人の命を蘇らせる、という演出。

 

松本先生は狐の神様の役のためか、台詞はすべて録音でエコーがガンガンにかかっているため、毎回その突拍子のなさにびっくりしてしまうんですけど…これも…劇団の…(自粛)

 

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『白鷺の城』狐の嫁入りがラストを飾る

『白鷺の城』の最後を飾るのは、時代としてはいちばん現代に近い江戸時代。

宝塚用語で青天と呼ばれるカツラをかぶった男役さんたちと可愛い町娘になった娘役さんたちが粋な着物さばきで集まり、江戸時代の結婚式とお祭りを表現したような演出になっています。

 

↓「青天」画・ノル香

 

狐のお面をつけた民衆と、キツネ耳をつけたお嫁さんの両親が楽しそうに花火を見上げている様子で幕が下ります。

これはいわゆる「狐の嫁入り」を表現しているのだと思います。

 

狐の嫁入りというのはいろいろな意味があるようです。

江戸時代に何もないあぜ道の奥でたくさんの松明が浮かんで見えたという目撃情報が全国各地であがり、この現象を「狐の嫁入り」と呼んだもの。

さっきまで快晴だったのに急に大雨が降ってまたすぐに晴れることを「狐の嫁入り」と呼ぶもの。

そして何度も前述してきた「狐を助けた男性と、美しい人間の女性に化けた狐が結婚する」というおとぎ話のことも総じて「狐の嫁入り」と呼びます。

 

きっと『白鷺の城』でのこの場面は最後の意味を表したものではないでしょうか。

いろいろな時代を生きてきた狐と、何度も生まれ変わってはその狐と出会い続けた男性がついに結ばれる、というハッピーエンド。

なんだかちょっと力技のように思える節もなくもないですが(;^ω^)

和モノショーで見せられるあらゆる日本文化を思うとやっぱり青天。青天の時代と言えば「狐の嫁入り」ということなのでしょうか。

 

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『白鷺の城』作品の特徴は?

まぁとにかくうまいように狐という一貫したテーマで、これだけの時代から狐エピソードを拾い集めたというのはさすが演出家という感じ。

そしてそれを和モノショーとして見せてしまおうというのはなかなかの発想と言えます。

和モノショーは初見時には「うわあ!やっぱり綺麗!」という新鮮な感動があるんですが…

どうもリピートしてくると飽きてきてしまうというのが難点。

劇団側はリピート狙いで、今回のような物語性をもたせた異色作を発表したと思われます。

 

確かにこうして史実や時代背景、実際に伝承されている伝説と照らし合わせてみると興味深い点がたくさん出てきます。

この『白鷺の城』で知った歴史や伝説に由来する史跡を訪ねてみる、なんて楽しみもできそうですよね。

 

ちなみにノル香もお稲荷様は商売繁盛の神様なので、仕事運向上のために訪れるよう心がけています。

 


 

さて、次はお芝居『異人たちのルネサンス』について。

こちらも『白鷺の城』と同じように史実がかなり絡んでくるので予習のし甲斐がありそうですよ。

日本を飛び出してイタリアに思いを馳せてみましょう。

 

↓↓5.『異人たちのルネサンス』の予習講座!ダヴィンチの基礎知識

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