夢白 あやのイリナ
新人公演の配役発表を見た時に「夢白あや」さんって誰?と思いました。
まさか組配属直後の研1がヒロイン(それに相当する)を演じるとは想像していなかったからです。
「宝塚おとめ」以外に全く情報もなく、一体どんな娘役さんだろう・・・
そう思いながらの観劇でした。
イリナもドミトリー同様に、多弁ではなく静かに淡々と話す言葉の中に、切ない思いやロマノフを思う心があるはずですが、ちょっとそのレベルにはまだ遠いですね。
でも研1さんであると知っているお客さんには「入団から数ヶ月でこんなお芝居ができるなんて!」とビックリかもしれません。
落ち着いた大人を演じようとはしていますが、難しいです。
鷹翔 千空のフェリックス
前作『王妃の館』でも真風涼帆さんの役(ルイ14世)を演じて話題になった鷹翔千空さん。
『王妃の館』新人公演での評価は高く、当時研2ながらあっぱれと批評もされて、期待していました。
メリハリある台詞がとても聞き取りやすく(本役の真風さんが今回聞き取りにくいのです)、口跡が良いイメージでした。
スーツでの立ち姿もなかなか綺麗。
フェリックスがドミートリーに寄せる複雑な友情は難しいのでしょか。
スッキリあっさりした、本役さんとはまた違うフェリックスでした。
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天瀬はつひのオリガ
可愛らしい皇女ではあるけれど、ロマノフ家の中では外の情勢が、世の中がどう動いっているかを知る人物。
もう一歩、そんな人物を描けるようになってほしいです。
オリガの皇女としてのプライドからくる気の強さを懸命に出そうとしながら、空回りしているようで。
留依 蒔世のラスプーチン
留依 蒔世さんは前回『王妃の館』で新人公演初主演を射止め、今回は全く色の違うラスプーチンという難役への挑戦でした。
本役・愛月ひかる(あいづきひかる)さんのラスプーチンが強烈な存在だけに、少し肩透かしを食らったようなあっさり目のラスプーチン。
こういうラスプーチンもありかも?と思います。
きっと真面目な生徒さんなのでようなので、一皮、二皮向けて冷静な一面を吹き飛ばすぐらいのエネルギーがあっても良いかもしれません。
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星風まどかのラッダ
近衛騎兵将校(本役:澄輝 さやと)と恋に落ちるジプシー酒場の歌手、ラッダ(本役:瀬音リサ)。
おそらく星風まどかさんがこれまでに演じたことのない、大人の女性です。
でも・・・
やりましたね!
新人公演の中にあってやはり実力と存在感が突き抜けていました。
さすがに次期トップ娘役です。
過去に演じことがないような役どころで、しっかり自分の実力を発揮していました。
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その他の出演者達
目を見張ったのは皇后アレクサンドラの小春乃 さよ(こはるのさよ)さん。
本公演では男役・凛城 きら(りんじょうきら)さんが演じている堂々とした風格あるアレクサンドラを、皇后としての威厳と母としての愛を持って演じているのが目にとまりました。
皇太后マリアの花菱 りず(はなびしりず)さんも嫁姑対決では負けていませんでしたが、ラストシーンでロシアの大地を登場人物が(きっと魂なのでしょう)踊るシーンに結びつく重要な台詞は、彼女の台詞で決まるとも言えるので、押し出し強く頑張ってほしいものです。
ドミトリーの大階段を使っての任官式、酒場での渦巻くようなダンス、皇室への怒りに燃える「革命」を叫ぶ民衆達などアンサンブルシーンは、新人公演としても迫力のあるものでした。
ラストシーンの影ソロ。本公演での影ソロはプログラムに記載されていませんでしたが、新人公演版には載っていました。
凰海るの(おうみ るの)さん、研2さんです。
少しマイクトラブルがあった? 前半が聞き取りにくかったのですが、のびの良い声で歌われていました。
歌い込めばもっとよくなるのではと思います。
同じくマイクトラブルかもしれませんが・・・
芝居後半にも「あれっ?」という出遅れ。
ドミトリーを探してフェリックスがイリナの屋敷を訪れ、家令ポポーヴィッチ(湖風 珀)が出迎えるはずが、出てこない・・・。
どうなっているのかしら?と思いつつもフェリックス(鷹翔千空)は動ぜず、あっぱれでした。
その後すぐのポポーヴィッチのセリフが一部聞こえなかったので、マイクトラブルによる出遅れと思いましたが、そこは新人公演だけにちょっとしたトラブルにも動揺せず対処するのは大変でしょう。
まとめ
こういう重厚な作品は、ある程度の舞台経験、人生経験がないと難しいのかもしれません。
本公演を観劇後に新人公演を観ると、そう思ってしまいます。
それでも早期に役が決まっていた瑠風 輝さん以外は、7月末の配役発表であり、稽古期間が短い中で大劇場では大まかな外郭を作っていました。
これからさらに稽古を重ねて東京宝塚劇場での新人公演では、ちょっとした心の機微、心の揺れ・・・そんな細かなところまで役の人物を、朝夏まなとさんの言葉を借りると「自分がその人を愛して」掘り下げていってほしい。
若いからこそできる『神々の土地』を作っていってほしいと思いました。
新人公演出演の皆さん、お疲れ様でした。
辛口に書いてしまった部分もありましたが、改めて若い皆さんが懸命に演じる舞台には、本公演とは違う「一生懸命さ」という今しかない美しさを感じました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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