花組『金色の砂漠』観劇の感想・明日海りお奴隷役と花乃まりあ退団公演で話題

花組

柚香光のテオドロス王子

ギィとタルハーミネと対照的なのが、テオドロス王子(柚香 光)。

舞台となる砂漠の国とは習慣の異なる国の末子。

タルハーミネと結婚し、国を継ぐことをジャハンギール王(鳳月杏)望まれ、タルハーミネと結婚します。

テオドロスがセリフで「王女に男の子の奴隷がつく不可思議」「奴隷を物として扱うことへの疑問」などを投げかけますが、それは観客も同様に感じる疑問を代弁しているのでしょうね。

ストーリーの中で比重も大きい役。

ギィとタルハーミネとは対照的に、理知的で物事を捉える目も客観的ですが、逆にあまりにも感情なく人間性には欠けた存在でした。

柚香 光(ゆずか れい) さんも堂々と落ち着いた存在になってきたと思いました。

 

 

芹香 斗亜のジャー、桜咲 彩花のビルマーヤ、天真 みちるのゴラーズ

ジャー芹香斗亜)は第二王女ビルマーヤ桜咲 彩花)に使える奴隷。

ジャーもまたビルマーヤに惹かれています。ビルマーヤも同じ。

ギィとタルハーミネと違う点は、思慮深くお互いを思いやることができ、自分の立場を理解している点です。

ジャーはストーリーテラー的な役目もありますが、常に穏やかに役としてのジャーでありながら、要所でストーリーを語るところは、目立ちすぎず控えめすぎず、

芹香 斗亜(せりか とあ)さんも良い仕事してる感じ。

 

ゴラーズ(天真みちる)は、太っていて何事にも自信がない、でも美しいビルマーヤに一目惚れだったのでしょうか。

ビルマーヤに結婚を申し込み、快諾されただけで嬉しそうな善人です。

それゆえに激しい愛ではなくとも、穏やかに愛を育む夫婦になる、天真 みちる(てんま みちる)さんの演技力が目にとまりました。

 




 

瀬戸 かずやのプリーシャ、音 くり寿のシャラデハ

プリーシャ(瀬戸かずや)は、第三皇女シャラデハ(音 くり寿)の奴隷。

この二人には恋や愛という感情はないようです。

プリーシャは奴隷として王族には反感を持ちながらも、見えないところでこっそりと使用人としてのうっぷんはらしをしています。

単純な存在?

王宮を抜け出すチャンスがあったから、抜け出したものの、実にあっけらかんとうまく世渡りしている人に見え、瀬戸 かずや(せと かずや)さんのように芸歴のある方には、役不足に感じられました。

 

第三王女シャラデハ(音 くり寿)は、二人の姉のようにプライドがあるわけでも、思慮深いわけでもなく、これまた実に単純に気まぐれにわがまま。

まだ年齢的に子供ということなのでしょう。
音 くり寿(おと くりす)さんはカゲソロを多数担当していますが、素直で伸びやかな声がいいですね。これからも期待です。

 

鳳月 杏のジャハンギール王

砂漠の国の王・ジャハンギール(鳳月 杏)は、物語の元凶を生む、非常に重要な役です。

今までの鳳月 杏(ほうづき あん)さんには見られなかった、凄みと存在がありました。実はジャハンギールは影の主役?

彼をメインにしたストーリーを作れそうだし、それもまた面白いのではないかと思います。

以前に「砂漠にあるとある国」には、別の王と王妃、王子達が暮らしていました。それを乗っ取り新たに王になったのがジャハンギール。

そして前王の王妃・アムダリヤ (仙名 彩世)を見初め、彼女を後妻に迎え、息子達(実はギィとジャー)の命を救ったがために、悲劇が起こる結果となります。

影の主役?と思ったように、あまりにも鳳月 杏さんの演技力がすごくて、「この人誰?」と思いました。まるで専科さんなみ!

実力もあってのことですが、非常に美味しい役でした。

 




 

仙名 彩世の王妃・アムダリヤ

仙名 彩世(せんな あやせ)さんといえば、花乃まりあさん退団後の次期・花組トップ娘役が決まっていますから、注目してしまいます。

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『金色の砂漠』では国王・ジャハンギールに夫を殺されながらも、妃になるという複雑な役です。

じっと抑えた芝居の中で耐え忍び、息子達を想う母の心情が伝わるあたりは、うまいですね。

で、こういう何でもよくできる娘役さんが、意外にトップ娘役になれないことが多かったので、研9にして軌跡のように娘1になられることに、ファンは嬉し泣きです。

さて・・・

物語の中で息子達が「生きてさえいてくれれば」と、奴隷に身を落とさせるのですが、奴隷に成ったらいかに残酷な運命が待ちうけているかを想像すれば、そんなことができる?と思いました。

でも母の「生きてさえいてくれれば」は、第三者に分かり得ない愛の一つだったのかもしれません。

ゆきちゃん(仙名)の演技からはそういう解釈もできそうです。

 

その他の登場人物

ピピ(英真 なおき)は思いやりのある人柄がよく出ています。この人の芝居の「味」ですね。

ナルギス (高翔 みず希)はタルハーミネの家庭教師ですが、算数ができないタルハーミネの腹いせで奴隷に身を落とします。で、まさかの大復讐。ギィとタルハーミネの愛を告発する人物。でも「悪」をええ味で出してます。

賊の女ラクメ (花野 じゅりあ)は注目の人! かっこいいオスカルばりの姉御肌の賊。

 




 

フィナーレ

日本物のショーの時は化粧替えの都合か、芝居が後になります。

で、芝居の幕が下りてフィナーレに続く・・・

瀬戸かずやさん、鳳月杏さん、水美 舞斗さん、柚香 光さんが銀橋で歌うところからフィナーレの始まり。いい並びですねぇ、美しい。

続いて、芹香斗亜さんが加わり、これが「ザ・花組」路線なのでしょう。

↓↓芹香斗亜さん
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(出典:毎日新聞

 

明日海りおさん&花乃まりあさんのデュエットは、ギィとタルハーミネが天国で幸せに成ったイメージなのでしょうか? 幸せそうに微笑む花乃まりあさんが印象的でした。

↓↓デュエットダンス・明日海りお&花乃まりあ
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(出典:毎日新聞

えっ? ロケットの真ん中にゆきちゃん(仙名)?という驚きがあったり、黒燕尾シーンの男役達がターバン姿(KASUMI-BOYさんの振り付けが良い!)だったりというびっくりもありました。

しかし花組らしいフィナーレでした。

さよなら公演でエトワールを務めるかのちゃん(花乃)ちゃんを見て、よかったね・・・、きっと色々苦労もあったのだろうけど、それで努力した分実力もついてきたし、幸せそうだね、と思わずつぶやきました。

 

↓↓3.まとめ

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