『クルンテープ』の作品としての魅力 その2
『クルンテープ』中詰は「Shall we dance?」
そしてここから輝月ゆうまさん扮する大きな女性(?)が、ダルマ姿のやはり大きな女性(?)を引き連れて歌います。
コミカルな歌なのですが、輝月ゆうまという人の魅力って面白い。
まゆぽん(輝月)はとにかく音域広く歌え、『雨に唄えば』でみせてくれた女役の実力を思い出しましたが、まゆぽんの存在は月組で希少的ですね。
パタヤの高級レビュークラブが再現された中詰。
おそらくタイ=ミュージカル『王様と私』の連想からなのでしょう。
曲は「Shall we dance?」です。
この1曲をリズムを変えたり6拍子にしたり、あらゆる手法でアレンジしていますが、曲と振り付けがマッチしていて楽しいです。
そして中詰に「あるある」のスターさん達の銀橋渡り。
いきなり引き上げられた若手スターが「歌えてない・・・(涙)」的なケースもあります。
その点、今回は夢奈瑠音さん、風間柚乃さんあたりは若手スターとしての銀橋渡りにも、余裕すら感じ、月組の層の厚さを感じました。
また美弥るりかさんの銀橋ソロの後、珠城りょうさん率いる真っ赤な衣装に真っ赤なカンカン帽の皆さんがオラオラしてカッコいい・・・と思っていたら、決めポーズでたま吉(珠城)が帽子をとったら、サラリと金髪がぁ・・・。
このドッキリはタイという国の特色を盛り込みたかった、藤井先生の陰謀?
続くシーンでは、月城かなとさん美園さくらさんがカップル。
そこへ暁千星さんが女役(なのか・・・?)でボブヘアにショートパンツ、しかも網タイツという色っぽさで珠城りょうさんに絡んでいます。
ちょっとした四角関係で男女の諍いとなるのですが、ここではとにかくアリちゃん(暁)のセクシーでありながら可愛らしい女役に注目です。
『クルンテープ』フィナーレは男役群舞に美弥るりかへの愛満載
フィナーレは美弥るりかさん退団への愛にあふれた構成でした。
みやちゃん(美弥)が黒い燕尾服姿で歌いながら、銀橋を上手から下手へと渡ってせり下がる。
そして本舞台に今度は珠城りょう率いいる男役達が、ズラッと並んでいます。
頭にはターバン、そして衣装は黒の燕尾服ながら、袖をたくし上げて着崩しているのにオシャレ!
(たしか花組で明日海りおさんがターバンに黒燕尾服という作品があったような・・・)
ちょっとワルが格好つけている、『BADDY』を演じた月組だからできるオシャレ感覚がたまりません。
そして群舞中にみやちゃんがターバンを頭につけてせり上がって、群舞に加わるあたりは、トップスターよりも上級生の二番手だから許されるのでしょうね。
そして客席も、月組生達も美弥るりかという生徒に愛情、尊敬といった物を持っているから、「みやちゃんによくぞこんなシーンを作ってくれた」と思うのみでした。
↓↓6. 『クテンループ』楽曲差し替え&美弥るりかへの愛情
コメント
すみれ子さん、こんにちは。
CASANOVAで良質なオリジナル作品に感動した私ですが、月組公演では演出が好みではなく、ちょっとがっかりしました。
月組公演は3度観る機会に恵まれたのですが、夢現無双は何度見ても好きになれない作品でした。
エピソードが散らかっていて集中できず、結局のところ小次郎の美しさと存在感、太夫と光悦の好演、武蔵の殺陣の迫力が印象に残っただけ。
残念ながら剣の道を極めんとする男の成長物語を作品から感じ取ることはできませんでした。作品の脚本と演出が残念だったなあと感じています。
でも、演者のパワーは観るたびに増していて、そこはさすがタカラジェンヌ、こんなに力のある方々なのにもったいない!と切に感じます。
藤井先生のショーは基本好きなのですが、私は今回はこちらも今一つという感想でした。
僧の衣装、当初は本物の僧侶が身に着けるような黄色い衣装だったのが、途中でエメラルドグリーンの衣装に変更されていました。
本当の理由はわかりませんが、戒律の厳しい僧侶の衣装ですから何らかのクレームが入ったのではないかと推測できます。もちろん、単に地味だという理由かもしれませんけれど。
製作上の勉強不足や準備不足が、曲や衣装の変更につながったのだとしたら演出家の責任は大きいのではないでしょうか。
でも、みやちゃんとたまきちのダンスにはぐっときたし、みやちゃんの黒燕尾には、号泣してしまいました。(良い演出でした)
ショーはもともと楽しいものなので、お芝居程がっかりしませんでしたが、やはり文句なしに楽しめる素敵な作品が見たいなあと思います。
でも、なんだかんだ言っていても公演を観るのは本当に好きですし、最近は、女性演出家の質の良い作品が目に付くので、期待の方が大きいです。
人それぞれだと思いますがすみれ子さんの感想レポには同意できる部分が多く、読ませていただくのを楽しみにしています。
おとぼけ男爵さん
ご訪問とコメントをありがとうございました。
私も正直なところ、斉藤先生の作・演出で「宮本武蔵」がどうなる?と期待が大きかった分・・・うーーん、ちょっと(汗)な印象が残りました。
もう少しエピソードをすっきりさせることはできなかったのか?
通した段階で時間オーバーで大幅なカットが入ったのか?
生徒さん達が熱演されているだけに残念な思いはあります。
ショーは衣装にも変更があったのですね。
エメラルドグリーンの衣装は記憶違いかと思いましたが、情報をいただいて安心しました。
105周年、星組、(特に)花組と「やってくれるじゃない、宝塚」と作品の質の高さとそれぞれの組カラーの素晴らしさを感じていただけに、今回の月組公演はなんだか物足りなさを若干感じています。
理事長はあらゆる場で昨今の宝塚大劇場の稼働率を「100%超え」とおっしゃっています。
でも生徒の力量頼み、一定の宝塚ファン頼みじゃなく、やっぱり作品の質の高さは大きく稼働率にもかかわってくるはず。
新しい作・演出家の成長はファンとして楽しみですが、大御所的先生方にも感性を磨いてファンの心をゆさぶる作品作ってほしいですね。
千秋楽まであと数公演、みやちゃんには大劇場の空間を思いっきり楽しんで卒業していただきたいと祈っています。
拙いレポに共感・・・感謝です、ありがとうございました。