宝塚雪組『壬生義士伝』観劇感想、作品の魅力は?

観劇レポ

『壬生義士伝』幕末にみる日本男子の美徳とヒューマンドラマ

宝塚版『壬生義士伝』で見えた義もヒューマン・ドラマ?

『壬生義士伝』には、過去の日本男子としての(と書いたらハラスメント???)美徳の一つが描かれていたと思います。

今では結婚しても男性のみならず、女性も働くのが当たり前の時代になりました。

でも幕末の男子・吉村貫一郎は、愛おしい妻と子を養うためなら何をもいとわない。

それこそが彼の『義』なのです。

周囲に何を思われ、言われて揺るぐことのない『義』。

観劇後に作者の浅田次郎氏と作・演出の石田昌也先生の対談を宝塚の公式サイトで読みましたが

  • 武士というのは儒教思想の元で育っていること
  • 孔子の教えでは『義』というのは人として踏むべき正しい道

自由に自分の考えで生きることを許される現代人の私には、儒教の教え、孔子の教えも正しく理解することは難しいですが、吉村貫一郎の『義』は日本人のDNAがなんとな〜くながらわずかな理解につなげてくれました。

 

社会的な成功や野心、つまり・・・

  • 新選組の隊士として大活躍する
  • 尊皇攘夷の新選組隊士の一員として忠義を尽くす

こういうことよりも、妻と子供なのです。

ここではそれが良い、悪いとか言うのではなくて、一人の人間・吉村貫一郎の生き方として、そこに家族に対する深い愛情や責任感とともに彼の大切にした『義』を感じ取ることができました。

 

今、いないよね? こういう男性?

(これも良いとか、悪いということではありません)

また、遠く盛岡で暮らす、しづも脱藩者の妻と言われようとも子供を守り、夫の帰りを待ちわびています。

あっ、こういう女性もいないかもしれないですね、現代には?(汗)

(これも良いとか、悪いということではありません)

 

現代には皆無かもしれない。

日本人が良しとした夫婦のあり方みたいなモノもありました。

今の日本人には「なくなってしまったもの」だから、幻想的に「美しい」と思ってしまうのでしょうか???

 



 

 

宝塚版『壬生義士伝』の幼馴染の悲しい思い

彩風咲奈さん演じる、吉村貫一郎の幼馴染み大野次郎右衛門。

妾腹の子ながら、本家に引き取られ盛岡藩の高官となる。

しかも、しづにも想いを寄せていた・・・。

この三角関係+幼馴染という人物関係は宝塚の作品にあるあるですね。

パッと思いついたのが、同じく雪組『星逢一夜』。

『星逢一夜』でも幼馴染が成長して、お互い全く違う立場の大人になって哀しい結末を迎えましたが、寛一郎と次郎右衛門にも同じ最後が待っていました。

次郎右衛門は貫一郎に切腹を命じます。

それは決して彼の本位ではありませんが、盛岡藩での彼の立場は貫一郎に切腹を命じることこそが、まだ武士としての情けだったのです。

いや・・・・

ここで大人になったがゆえに、自分の本心や思いとはまったく別の言動をとらねばならない人の哀しさがありますね。

 



 

宝塚版『壬生義士伝』が心に残した人間ドラマ

 

宝塚の作品は夢のような時をすごさせてくれます。

ハンサムでかっこいいヒーローが活躍して乙女心にキュン!というのも好き。

今作『壬生義士伝』はヒーローでもなんでもなく、妻子に最大の愛を寄せる一人の人間・吉村貫一郎が描かれていました。

それでも吉村貫一郎は人間味溢れていて心を揺さぶられたのは、望海風斗さんが役として存在したからなのでしょうか。

よくはわかりあませんが、今の宝塚でこの吉村貫一郎をこんな風に演じることができるのは、きっと望海風斗だけだろうと思いました。

 

斎藤一(朝美絢)は左利きの剣の達人。

この作品では冒頭にも書いたように、ストーリーテラー的に明治時代に登場。

そして軸となる幕末本編にも。

どちらも朝美絢さんのするどい眼光が印象的でした。

 

日本物芝居の雪組にふさわしく、良い作品を観ることができました。

 

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最後までお読みいただきありがとうございました。

 


雪組『壬生義士伝』『Music Revolution!』

 

コメント

  1. おとぼけ男爵 より:

    すみれ子さん、こんにちは。
    いつも楽しく読ませていただいています。
    誤変換があるようです。浅田先生と石田先生の対談。。。ですね。きっと。

    壬生義士伝、気に入られたようですね。
    私は、原作を読み終わったときに、難しい作品を選んだなあ。と感じました。
    原作は、あれだけの長い物語として語ってはじめて納得できる感じがしたので、1時間半でどうするんだろう?と思いました。
    儒教の思想とか、”義”という考え方は、現代社会の中では違和感を覚える部分もあり”家族の為に、家族を持つ人の命を奪うのか?”みたいな疑問を持ってしまうとどう感じるのかしら?と思っていました。
    ですが、望海さんは本当に見事でしたね。
    なんの迷いもなく、家族を守るという”義”を表現されていたので、そんな疑問すら頭をよぎることなく、ひたすら号泣しておりました。
    おっしゃるように、妙なセリフもなく脚本もおおむね良かったですね。歌詞も美しくて、歌でも感動しました。
    でも私は、語り部を登場させる演出が好きではありませんでした。
    語り部たちの登場タイミングが悪くて、涙に打ち震えていた感情の持っていき場がなく、物語の中から現実に引き戻されて集中力がきれること2回。
    どうしてくれるんだ!この気持ち!と憤慨しておりました。
    まあ、どうのこうの言ってもあー楽しかった!といって帰路についたのは間違いないんですけれど。(笑)
    ショーの感想を読ませていただくのも楽しみにしております。

    • すみれ子 より:

      おとぼけ男爵さん

      コメントをありがとうございました。
      お返事が遅くなり申し訳ありません。

      実は今回の雪組公演は観劇中も、そして観劇後も「かんがえさせられる物」が多すぎて、書いたりまとめたりすることができないでいました。
      とにかく記録していたい思いもあり、書いてみましたが、思いが文章にはなりません(涙)。

      「義」って文字で書くと「ふーん・・・」って感じです。
      でも原作はもちろんでしょうが(読んでいませんが)、望海風斗さんが表現した『壬生義士伝』の世界は、日本人の持つ忘れ去ってしまった精神を考えたり、いろいろ・・・。
      単純に悲しいとかそういう感情の問題としてだけでなく、考えこんでしまって(苦笑)。

      でも観劇された方、お一人お一人の心の奥に「何か」を残してくれる作品であったことは間違いありません。

      ショーはそんな思いを吹き飛ばしてくれるような、かっこいい雪組、歌えるコンビの心があらわれるような歌声を楽しめる作品でしたね。

      お芝居とショーの2本立て、宝塚ならではの世界だからそれでも救われるます。

      また、ゆっくりとショーも思い出してみますね。

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