星組『ESTRELLAS』観劇感想レポ
ショー『ESTRELLAS』は、中村 暁(なかむらさとる)先生の演出作。
割とスタンダードなタカラヅカレビューを演出する、万人受けする先生かなという印象です。
例えば、宝塚を初めて観るという友人を連れていくなら中村 暁先生の作品が妥当という感じ。
お芝居の演出もされますが、最新作である『邪馬台国の風』はなかなかの不評でしたので(;^ω^)、ショーの演出のほうがお得意なのかな?と思います。
ただ、ここ数年の中村 暁先生のショー作品、ノル香はあまりピンと来ていなくて…
宙組の『VIVA! FESTA!』はもうすぐ博多座で再演する人気作ではありますが、全体を通してみると印象に残る場面が少ない。
中詰めのソーラン節はすごく良かったのですが、他の場面はあまり記憶になくて…。
↓真風涼帆(まかぜすずほ)さんの見事なハッピ姿!
ビバフェス…真風のソーランがもう一度見れる…
博多行くしかないな。 pic.twitter.com/1EbaYfCwgA
— ゆめかぜ (@mkzrim07180530) 2018年8月30日
今回の『ESTRELLAS』も実はちょっと不安でした…。
こんな感じでハードル低く迎えたんですが、不安は的中、かな…(;^ω^)
J-POPソングがメインだったことがいちばんの原因のように思います。
タカラジェンヌの発声とポップスの発声は違うので、どうもタカラジェンヌさんが歌うと「コレジャナイ感」が。
タカラジェンヌとしての発声訓練を受ける前から、もともと歌がお上手だった人ももちろんいらっしゃいますので、そういう生徒さんはやっぱり上手なんですが。
それでも、宝塚のショーでJ-POPを使うのがどうも…しっくりこないんですよね。
宝塚は総合芸術なので、壮大な衣装やライティングにJ-POPのノリが合わないのが原因かなと考えます。
別箱公演のように小さな箱でコンサート形式のように上演するにはアリだと思うんですが。
今回の『ESTRELLAS』は、気のせいか…セットもすごく簡素に見えました。
「あれ…?ショーのセットってこんなに何もなかったっけ?」と。
群舞もなんだか迫力に欠けて…ノル香がB席だったからでしょうか…?
黒燕尾の使用楽曲があの『情熱大陸』の曲だったんですが、どうも…素敵な曲なのに「情熱大陸感」がすごくて、黒燕尾とマッチしていなかったような…
黒燕尾に合うような、バイオリンベースではなく、原曲と全然違うアレンジをしたら良かったのになあと思いました。
『ESTRELLAS』は、『VIVA!FESTA!』のときと同じ、覚えている場面がほとんどなかったというのが全体的な感想です。
中村 暁先生は過去に雪組『ミロワール』などの素晴らしいショーを見せてくれたので、あまりJ-POPに頼らず、宝塚ならではの演出を期待したいです。
『霧深きエルベのほとり/ESTRELLAS』観劇感想・まとめ
全体的に辛口になってしまった感がしますが、それでもそこはさすがのウエクミ先生。
帰り道もずっと作品の余韻が胸を漂っていました。
宝塚のトップスターが演じるには、かなり異彩を放っているカールという役。
言葉も行動も品がなくて乱暴、「女は欲求不満の解消のため」というような発言をしたり、女性を札束でひっぱたいたり(笑)
その裏には、どんな甘い言葉をささやく男よりもずっとずっと優しい心が隠れてるんですけどね。
講演会で「心をザワつかせることのない安全な娯楽、心地良さのための物語が優秀な作品になりつつある」と危惧していた上田久美子先生。
『霧深きエルベのほとり』は一見、「そんな危なっかしい台詞をトップさんに言わせて大丈夫なの?!」とヒヤッとしますが、そうせざるを得なかった哀しい理由を知って観客は涙する。
なんだかとても文学的です。
宝塚が「単なるエンタメ」に成り下がっていきそうな現状に危機感を覚えて、物語に文学性を持たせ、より高尚なものへと押し上げていくウエクミ先生。
だからこその、この味わい深さと、観劇後もずっと考えてしまうような深い余韻なのでしょうね。
今の時点では上田久美子先生の次回作は未定です。
「早く!早くウエクミ先生の新作が観たい!」と、大好きな漫画や小説の続きを待つようなこの気持ちがとても好きです。
本当は『霧深きエルベのほとり』、あと3回は観たかった…(泣)
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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