昨日は花組大劇場公演『はいからさんが通る』の千秋楽でした。
当初は3月〜4月に上演予定だった『はいからさんが通る』。
コロナ感染拡大防止のために幾度となく公演中止を余儀なくされ、待ってました!とばかりに7月17日に初日を迎えたと思ったら、出演者とスタッフがコロナに感染して1ヶ月あまりの公演中止。
9月3日に再開されたものの、残すところ3日で千秋楽を迎えるという、厳しい現実に翻弄されたような公演でした。
この公演が本拠地お披露目公演となった花組新トップスター・柚香光(ゆずかれい)さんにとっては、まさに苦難の日々としか言いようがありませんが、まさに宝塚の歴史に残る感動的な千秋楽であったと思います。
この記事では『はいからさんが通る』千秋楽ライブ配信の感想を中心に、作品としての『はいからさん』とコロナ渦を越えた花組生の活躍をお伝えしていきます。
\この記事のポイント/
- 『はいからさんが通る』コロナ渦での上演と公演中止に想う
- 作品としての『はいからさんが通る』
- 『はいからさんが通る』感想・出演者たち
- 『はいからさんが通る』芝居達者な出演者
- 『はいからさんが通る』千秋楽に寄せて思う宝塚&花組
『はいからさんが通る』コロナ渦での上演と公演中止に想う
『はいからさんが通る』(以下、『はいからさん』)は、2017年10月に梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ、日本青年館で、柚香光さん&華優希(はなゆうき)さんコンビで上演された作品で、柚香光さんにとっては初東上作品でした。
その作品が初演コンビのまま本拠地お披露目公演として上演される!
これを知った時には心が踊ったものです。
伊集院忍の柚香光さん、花村紅緒の華優希さんともに、はまり役で漫画がそのまま現実となったような世界観も素晴らしかったのがその理由。
それがコロナの感染拡大が広がり、まさかの公演中止になった時の悲しさは、たった一度か二度観るだけ・・・のファンにとっても大きなものでした。
(はい、しっかりチケット握りしめてました)
何度となく初日が順延されて、その後宝塚歌劇団そのものが政府の緊急事態宣言に従って大劇場のみならず、東京宝塚劇場をはじめ他の小劇場の公演もすべて中止。
緊急事態が解除された後、7月17日にようやく迎えた初日のカーテンコールのご挨拶の中で柚香光さんが述べられた言葉に、予定より4ヶ月遅れて初日を迎えられたことを、関係各所に感謝しつつも「公演中止期間中の柚香光をはじめとする花組生たちの苦悩」が「再び舞台に立てることの喜び」が感じられました。
なのに・・・ですよね(^^;)
でもコロナは誰しもが感染する可能性があり、自分自身もいつどうなるのかはわかりません。一ヶ月に及び公演中止はこころの痛む現実でしたが、いたしかたのないことです。
千秋楽のライブを観ながら思ったのは「花組生たちはこの渦をも糧として舞台人として大きく成長している」ということでした。
作品としての『はいからさんが通る』
『はいからさんが通る』は宝塚の胸キュン要素と普遍テーマのある佳作
一言で言えば、今回大劇場バージョンとしての再演となった『はいからさんが通る』は佳作でした。
公演中止期間後の大劇場公演第一弾が『はいからさん』だったことを「最初の作品がこれで良かった」という感想をネット上で見かけました。
なぜかといえば、明るく、楽しく、しかも女子の心キュンキュンさせてくれるから。
確かに宝塚をはじめ舞台興行が再開されたとはいえ、まだコロナが収束したわけでもなく、当たり前だったことは当たり前でなくなり、毎日心が沈みがちだから、思いっきりキュンキュンして、笑っていられる作品というのは有り難いと思いました。
何よりも『はいからさん』は宝塚作品の重要ポイントの
- 胸キュンキュン
- 包容力のある男性(夢見る王子さま)
を多いに満たしています。
それだけではなく
自立した女性を目指す北小路環。
環に影響を受けてただのお転婆娘だった紅緒も自立を目指すことも、ファンがヒロインに共感できますね。
環の台詞に「元始女性は太陽であつた」という平塚らいてうの一文がありましたが、未だこの言葉に代表される女性の自立は『はいからさん』の時代背景である大正時代から変わらぬ普遍性があり、そのテーマが底辺にあるにもかかわらず、涙あり、笑いあり、キュンキュンあり・・・の娯楽作品に仕上がっている点は素晴らしかったと思います。
1970年代のコミック作品とはいえ、次代を越えてもなおファンに支持されるであろう要素がある『はいからさんが通る』を舞台化したことは、大正解だったと思います。
『はいからさんが通る』作・演出の小柳奈保子が胸キュンアップ!
『はいからさん』の胸キュンアップは、やはり作・演出の小柳奈保子先生の手腕。
2.5次元の世界を作る手腕は今や宝塚一といっても過言ではないと思います。
子供次代からインドア派で文豪作品のみならず、SF、少女マンガやミステリー作品などあらゆるジャンルの本を読んでいたと言われる小柳先生。
おそらくは『はいからさん』もその中の一つなのでしょう。
また『はいからさん』はコミック本としては全8巻。
同じく小柳先生が舞台化をてがけた『天は赤い河のほとり』の28巻には及ばないものの、長編作品。
それを2時間半の中に立体的に作り上げた作品だと思いました。
ただし幕が上がる前・・・
これってどうなのよ!と思わざるえなかった・・・
センスがまったく感じられないのですが・・・(汗)。
漫画をそのまま抜き出すにしてもコミカルすぎでは?
さらに個人的に難をいえば「伊集院の小倉への転属」→「シベリア出兵」→「記憶喪失」→「サーシャとして日本へ」という流れが、えっ?もうそんなに話が進んでるの?と時間経過があわただしく感じたこと。
もう少し時の流れを感じられたらいいのに・・・。
なんて偉そうなことを思ってしまいました(汗)。
でも笑って楽しく観られ、伊集院忍さんにうっとりして、紅緒のまっすぐした生き方に共感して・・・とこんなふうに『はいからさん』を舞台化してくださった小柳先生には感謝!です。
↓↓2. 『はいからさんが通る』伊集院忍は劇画から抜け出た美しさ!
コメント