2017年7月23日に『幕末太陽傳(ばくまつたいようでん)』『Dramatic “S”!』をもって、雪組トップスター・早霧せいな(さぎりせいな)さん、トップ娘役・咲妃みゆ(さきひみゆ)さんが宝塚を卒業されます。
それが発表されたのは昨年の11月21日のことでした。
まだ遠い日・・・
そう思っていましたが、アッという間に時は流れて、ラストデーがだんだんと近づいてきましたね。
同時に退団する鳳翔 大(ほうしょうだい)さん、香綾 しずる(かりょう しずる)さん、桃花 ひな(ももはな ひな)さん、星乃 あんり(ほしの あんり)さん、蒼井 美樹(あおい みき)さん。
それぞれにたくさんの思い出を心に残してくれた生徒さん達で、このさよなら公演は宝塚大劇場で観劇しましたが、なかなか感想を書くに至りませんでした。
今の雪組だからこその力をキラキラ放つ舞台。
「ちぎみゆ」とファンから呼ばれ、愛されてきたトップコンビのラスト作品を振り返ってみたいと思います。
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真彩希帆ちゃんの着物どっかで見た事ある柄だと思ってたけど、ようやく思い出したわ。ひやしあめの缶だ!#幕末太陽傳 pic.twitter.com/ZY6VGYOkog
— 大江戸UC (@ohedo_uc) 2017年6月16日
↑↑確かに「ひやしあめの缶」に似ていますね。でも黄八丈と言われる伝統的な着物の柄。日本物では街娘がよく着ている柄。
103期生初舞台
この公演は103期生の初舞台ですので、開演前には例年通りの口上がありました。
私が観劇した日の口上は
- 花束ゆめ(はなたば ゆめ)
- 瑠璃花夏(るり はなか)
- 羽音みか(はおん みか)
舞台人としての一歩を踏みしめた初々しさはあるものの、物怖じしない堂々たる口上。
毎年初舞台生を観ると清々しい気持ちになりますが、初心を忘れずに成長していく姿を楽しみにしたいと思います。
作品としての『幕末太陽傳』
公演スケジュールが発表された時に映画『幕末太陽傳』とは意外な作品を上演するのだな、と正直思ったものでした。
日本の誇る名優ではありますが、フランキー堺という二枚目とは遠い俳優さんが演じたからこそ、人情味溢れる作品になった映画です。
それを早霧せいな主演で?
どこかピンときませんでした。
舞台のメインとなるのも遊郭なので、「清く正しく美しく」の宝塚にふさわしいものかどうか?と訝しくも思いました。
しかし・・・
結果から言うと、今の宝塚でこれほど人の温かさや思いやり、心の機微を大仰でなく表現できるのは、早霧せいなしかいない!
チギさん(早霧)の魅力を最大に引き出した作品だったと思います。
唯一残念だったことといえば、トップスターの退団作品としては鮮烈なインパクを絵画的に放つようなシーンがなかったことでしょう。
でも心の襞(ひだ)に深く残る温かさは忘れられないものとなりました。
まず舞台のメインとなる「相模屋」のセットがシンプルながらも、盆を使うことによって、表と内部を巧みに見せています。
音楽は「えっ、幕末物だよね?」と問いたくなるような、ジャズ、タンゴ、ボサノバが使われていて、斬新さがありました。
主役の居残り佐平次(早霧)、女郎のおそめ(咲妃)以外にも、たくさんの出演者に見せ場がある作品で、
・おそめ(咲妃)と争うこはる(星乃あんり)
・おそめと心中を図ろうとする金造(鳳翔大)
・女中おひさ(真彩希帆)が父親(真那春人)、おひさと駆け落ちしようとする「相模屋」の息子徳三郎(彩風咲奈)
・長州藩士の高杉晋作(望海風斗)と仲間達
エピソードもふんだんに盛り込まれていながらも、雑多な印象は全くなく、気がかりだった「清く正しく美しく」の精神は生かされた品を保つ作品となったのは、脚本・演出の小柳奈穂子氏の手腕に寄るところが大きいでしょう。
ラストシーンも未来に羽ばたく、居残り佐平次とおそめの姿は宝塚版のオリジナルのようですが、「チギみゆ」の未来への飛翔に繋がっているようで観劇後には卒業の悲しさよりも未来への希望や明るさを感じることができました。
↓↓この並びも見納めですね
早霧せいな&咲妃みゆの新しい夜明け、宝塚雪組「幕末太陽傳」東京へ https://t.co/1TP1IDcol1 pic.twitter.com/ZaSYgmz13B
— ステージナタリー (@stage_natalie) 2017年6月16日
↓↓2. 早霧せいなの居残り佐平次 /咲妃みゆの女郎・おそめ
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