宙組『白鷺の城/異人たちのルネサンス』観劇感想レポ!by路線ノル香

宙組

『異人たちのルネサンス』どす黒くてむしろ爽快

さて、お芝居『異人たちのルネサンス』の感想へ。

ヒゲもじゃのおじいちゃんのイメージしかないレオナルド・ダ・ヴィンチが、あのお色気たっぷりの真風涼帆さん…?

と、発表当時は「想像できない!!」と我々を悩ませた今回の演目。

 

ポスターでは真風さんの背後で嫌な目つきをする芹香斗亜(せりかとあ)さんと苦悩した表情の星風まどかさん。

その皆さんの表情通り、芹香さんは嫌な奴で星風さんは苦悩していました(笑)

 

そして悪役やひねくれものの多いこと多いこと!

 

  • 寿つかささん(ちょい悪)
  • 芹香斗亜さん(めっちゃ悪)
  • 愛月ひかるさん(めっちゃ悪)
  • 凛城きら(りんじょうきら)さん(めっちゃ悪)
  • 桜木みなと(さくらぎみなと)さん(めっちゃひねくれ)
  • 天彩峰里(あまいろみねり)さん(めっちゃやらかす)

 

というラインナップ!

もうどす黒い感情が渦巻きすぎていて、でもだからこそ真風さんと星風さんの純真無垢さが際立って見えたのでこれは演出成功ということ、でしょうか。

 

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いつの世も、どこの国でも、お金と権力は人を狂わせます。

それに憑りつかれた人たちが、絵の才能を持ったダヴィンチと、美の才能を持ったカテリーナ(星風さん)に襲い掛かり、我が物にしようとします。

もう笑っちゃうくらい悪い3大悪人(芹香・愛月・凛城)がむしろ爽快で、全人類を見下しているという芹香さんの悪さは「私も見下して!」と思うほどの色気です!

 

この3大悪人、演出の田渕先生の指導がそうだったのかどうかわかりませんが、

芹香→いやらしい

愛月→汚らわしい

凛城→利用されるだけの小物

という感じに、悪のベクトルがそれぞれ違っていたのが興味深かったですね。

 

ダ・ヴィンチとカテリーナは幼馴染で、数年ぶりにロレンツォ(芹香)宅で再会しますが、惹かれ合っているのにカテリーナは拒み続けます。

一度は心を開いてダヴィンチのもとへ行こうとしますが、また尻込みして…となんともハッキリしない。

なにをそんなに恐れているのか…?と最初はカテリーナが抱える不安や恐れがよく見えずにモヤモヤしました。

しかし、星風さんの確かな演技力のおかげで「なるほど…」と腹に落とすことができました。

 

カテリーナはみなし子として生まれ、教会で修道女としての人生しか選べずに、「赦しを乞いなさい、悔い改めなさい」という一種の洗脳を受けて育った。

純粋すぎたカテリーナは己と煩悩を殺す性格になり、美しく育ったところでロレンツォの支配下に置かれ、ここでも己を殺す生活を強いられた。

そのせいで自分の心に正直に行動することを「悪」だと思ってしまう性格になっていった…

 

というように解釈しました。

ダヴィンチからの「人は自由になっていい」という言葉を受け、ようやく自由に羽ばたきたいと思えるようになっていき…

という、人物描写がいちばんよく見えたのが星風さんでした。

『白鷺の城』でもそうでしたが、今回の役も若い女性とはいえ心を閉ざした女性ですので非常に落ち着いた台詞回しで、大人っぽい役のほうが断然上手な生徒さんだと知りました。

 

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そして、ロレンツォの支配下でくすぶっているもう一人の人物、弟のジュリアーノ(桜木みなとさん)。

日本でも海外でも、昔は家を継ぐ権利のない次男以下の男子はくすぶりがち。

ジュリアーノも家を継ぐこともできないうえに自身の結婚まで兄に利用されてしまう可哀想な立場。

そのくせ家柄がいいせいで野心とプライドだけは人一倍、その向こうっ気の強さゆえにどんどん性格をこじらせ、嫌がっているカテリーナにストーカーのごとく迫ります。

 

兄上の想い人を欲しがってしまう役が続いていますね、桜木さん…(;^ω^)

 

場面場面で、そのこじらせまくった、今にも暴発しそうな怒りが全身から滲み出ていてとても良かったです。

これまで王子様役などの白い役が多く、お顔も貴公子風なずんちゃん。

あのずんちゃんがあんなに憎悪をみなぎらせているのはなかなかの役者魂だと思いました。

ショーのほうでも男臭い無三四(むさし)役で「斬って斬って斬りまくる!!」と妖狐成敗に鼻息荒くしていたので、今回の演目はなかなかのチャレンジだったのではないでしょうか。

 

一方、最も個性が薄いのがダヴィンチなので…ちょっと真風さんの影が薄かったかなあと思いました。

絵の天才で、自由に絵を描きたいと思っている純粋な青年、ということしか感じ取れませんでした。

最後に「ついに完成した!」と披露したモナリザの絵も、結局はカテリーナが死んでしまう要因を作ったロレンツォに売るの…?という終わり方で…。

ダヴィンチ以外の人物描写は非常によく伝わってきたのに、肝心の主役の個性がイマイチ薄いというのは…原因はどこにあるのでしょうか。

 

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全体的には非常に楽しめましたし、最後につけてくれたフィナーレはもう本当に感謝しかないほど素晴らしいんですが、ダヴィンチの人物像の輪郭だけが掴めないままでした。

田渕先生が大劇場デビューしたのは去年ですし、まだまだ伸びしろのある先生だと思います。

次回作に期待!です。

 

『白鷺の城/異人たちのルネサンス』星風まどか強み判明

先日、花組トップ娘役の仙名彩世(せんなあやせ)さんの退団が発表され、ショックが広がっています。

 

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まるでアイドルのようなキュートなルックスのトップ娘役さんも素敵ですが、仙名彩世さんのような落ち着いた気品あるオーラのある娘役さんも絶対に必要です。

というのも、ヅカファンは多くが大人の女性だから。

現実離れした「うっとり…♡」な世界観を出すには、かわいこちゃんではなくて、しっとり艶やかな娘役さんなんです。

 

そういう意味で、色気の塊である真風涼帆さんの良さを出すには、星風さんは少し幼すぎるのでは?という意見もあった新生宙組。

それは確かにノル香も感じていました。

そして、若くて溌溂とした少女の役なら、台詞も早口。

星風さんは少し早口が苦手な部分があるようで、台詞がよく聞き取れないこともありました。

 

それが、今回の2作品では落ち着いた役作りだったために台詞もよく聞き取れ、苦悩した表情に色気があり、迫る真風さんとなかなかのお似合いぶりでした。

「その生徒さんのイメージと逆の役のほうが案外ハマる」というのは、昔ながらのセオリー。

星風さんも間違いなくそのセオリーに当てはまるのではないかなーと思いました。

 

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この『白鷺の城/異人たちのルネサンス』が終われば真風さん・星風さんは博多座公演『黒い瞳』。

そして発表されている宙組の次回大劇場公演は『オーシャンズ11』。

どちらも再演のため、星風さんの役どころは既知の方も多いはず。

どうかこのまま落ち着いた役作りで真風さんとの相性を高めていってもらえたらなーと思います。

 

ということで、路線ノル香の『白鷺の城/異人たちのルネサンス』レポでした!

 

ソワレのあとは劇場を飛び出してまた梅田のバスターミナルに向かい、電車に乗り換え…

0時近くに這いつくばって自宅へ帰りついたノル香でした…

 

 

そしてまた来週行ってきます……(-_-)

遠征組はつらいよ!

 

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最後までお読みいただき、ありがとうございました♪

コメント

  1. ちはるCLUB より:

    遠征は名古屋と博多、ムラにも行きました。あ、札幌も。

    夜行バスも経験あり。

    遠征は楽しいぞ。

    名古屋が無くなってざんねん。

    • すみれ子 より:

      ちはるCLUBさん

      私は関西圏に在住いている期間が長く、遠征まではいかず日帰り組なのでまだハッピー?
      たまに全国ツアーや東京遠征というのは旅行気分も楽しめますが、毎回遠征されるファンって本当に大変ですね。
      いろんな意味で・・・(汗)。

      いつもコメントありがとうございます!

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